音怪-後編-
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し離れた位置に結月を止まらせ、扉に向かう。扉の前に着き、まずは中に誰かいるか、扉に耳を当て確認する。
(何か聞こえるな。やっぱり誰かいる)
確信した俺は、意を決して部屋の中に突入する。
「お前、何してやがる!」
『きゃっ、きゃあ!』
そう怒鳴ると、部屋の中にいたそいつは驚いたのか、手を突っ込んでいたタンスの中身をばら撒きながらズッコけた。即座にその中身が見てはいけない物と理解した俺は、極力見ないように気をつけながら、そいつの元へ向かう。そいつの顔の上に覆い被さているタオルを引っ剥がすと、そこには。
「……って、何してんだお前」
「……秘密?」
馬鹿マキがいた。
PM17:55
「私はただゆかりちゃんとマコトを脅かそうとしただけなんだよぉ」
「それで勝手に人の部屋に入って、下着漁りですか。良い度胸してやがりますねあなたは」
「ゆかりちゃんが怖いよぉ!」
因果応報とはまさにこの事か。
「マコトさん」
その矛先がこっちに向きやがったぁ!
「まさかとは思いますが、見てませんよね?」
うわぁ、凄い威圧感
「見てないです見てないです。神に誓っても見てないです」
「だったらいいです。それと……」
さっきまでとは打って変わって、結月がモジモジとしだした。
「守ってくれて……ありがとう」
「っ!」
不覚にもドキッとしてしまった。意識はしていなかったが、結月は結構かわいい。クラスの奴らが興奮するのも少し分かった気がする。
そんなことを話していると、玄関の扉が開いた音がした。
「あ、おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
親父が帰ってきた。
「……帰ってたのか」
四年ぶりに親父の声を聞いた。最後にあった時より少し歳をとっているのが分かった。
「ああ。その……」
ただ一言いうのにも、少し時間がかかる。実際に会うとここまでテンパるとは思っていなかった。なんとか言葉を紡ごうと必死になる。しかし、俺が何かを言う前に、ソファに座っていた結月が口を開いた。
「おかえり、マコトさん」
「おかえり、マコト!」
たったそれだけ。たったそれだけの言葉だったのに、俺の動揺は一瞬にして消え去った。二人は笑っている、親父を見ると、親父もニッコリと笑っていた。そして
「おかえり、マコト」
だから俺も
「ただいま、みんな」
笑顔で答えたんだ。
PM18:10 書斎
今は俺と親父の二人だけが書斎にいた。結月とマキは俺達に気を使って席を外してくれた。
「それで、急に帰ってきてどうした?」
親父が椅子に腰掛けながら聞いてき
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