音の波
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た。
PM18:00
「あれ、もうこんな時間じゃん!私バンドの皆と約束あったんだ。ごめん、先に帰る!」
「私も塾がありますのでお先に失礼します。マコトさん、ゆかりさんまた明日」
マキとミクが手を振りながら屋上を後にした。そして残されたのは俺と結月の二人。
沈黙が続く。校庭の方から野球部の掛け声が聞こえてくる。いや、割とマジで気まずい。四年前に顔を合わせて以来、一回も会ってない上にろくに話したこともないからどうしたら良いのか全然わからん。
「詠月さんは、家には戻ってこないのですか?」
結月が尋ねてきた。聞かれるとは思っていたが、やっぱり聞かれたか。
「さあな。俺はまだ親父のことを許したわけじゃないし」
「お父さんはあなたのことをすごく心配しています。せめて、一回だけでも顔を出してもらいたいです」
……とは言われてもな。
「とりあえず、これ。お父さんからです」
いろいろと考えているとゆかりが何かを渡してきた。これはお守り?
「厄除けのお守りです。もし何かあればこれを持っていてください。あなたを守ってくれます」
そう言うと結月は取るのを渋っていた俺の手を取ると、無理矢理に握らせてきた。おおう、結構押しが強いんだなこいつ。
「とりあえず渡したいものは渡したので帰ります。一回でも良いのでお父さんに会ってあげてください。では」
結月が屋上を後にした。にしてもあのジジイ……こんなもん用意してんなら自分で届けに来いよな。……さて、俺も家に帰るか。それにしてさっきの変な音と人影、いったいなんだったんだ?着物を着てるのはいいとして、刀なんて法律ガン無視したものを持ってる人をほかの人が見てないわけがないし、あんな気持ち悪い音も一回聞いたら忘れるわけがない。家に帰ったらマキに聞いてみるか。
PM20:00
詠月家
「おかえりなさいお父さん」
「ああ、ただいまゆかり。学校はどうだった?」
お父さんがスーツをハンガーにかけながら尋ねてきた。マキさんやミクさん、クラスの皆にルカさん。そして詠月さんの顔が思い浮かんだ。まだ一日しか行っていないが、楽しい学校生活をおくれそうで安心したとお父さんに伝える。
「そうかそうか、なら良いが。マコトはこっちに帰ってくると行っていたか?」
「いえ、迷ってはいるようでした。やっぱり私とお母さんが……」
自然と目から涙が流れてきた。この四年間、確かに幸せであったが、度々お父さんの悲しそうな顔を見るたびに私の胸は傷んだ。だから私はこの関係をなんとかしたい。そう思ってお父さんに無理を言って詠月さんと同じ学校に転校させてもらったんだ、私がなんとかしないと。
「ゆかり、その気持は嬉しいがな、それはなんの解決にもならないんだ。俺は母さんとゆかり
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