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ハーメニア
音の波
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ト!マコト!」
「あ、あれ?俺、一体」

気が付くと、ソレは俺の頭のなかから出て行っていた。先ほどの人影も消えている……一体何だったんだ、さっきのは。

「大丈夫?体調悪いなら保健室行く?帰るなら一緒に帰るよ?」

どうやら先程の音や人影はマキには見えたり、聞こえたりはしていないようだ。俺にだけ聞こえたというのだろうか。何が何だか分からないが、これ以上ミク達を待たせるのは、申し訳ないということはわかる。俺は一度深呼吸をすると、立ち上がった。

「他の奴らが待ってるのに帰る訳にはいかないだろ。俺は大丈夫だから、行こうぜ」
「ほんとに?無理してない?倒れたりしたら私、嫌だからね」

マキも立ち上がる。本当に子供の頃から心配症なやつだな。心配してくれるのは素直に嬉しいが。

PM17:00

「ごめんね〜、おまたせおまたせ」
「いえ!ゆかりさんと話してると、とても楽しかったので問題ありません!」
「ミクちゃんすごいですね。歌もうまくて、ギターも出来て」
「私なんて。まだマキさんのお足元にも……」
「そんなことないよ〜。ミクちゃんとっても……」

ガールズトークに花が咲いている。謙遜はしてるがミクも結構な腕前なんだよなぁ。
おっと、そんなことよりもはやく行かないと、俺のせいで急かすのは申し訳ないが見せるなら最高の物を見せたいからな。

「それじゃ行くか。この扉の先だ」
「あ、私が開けるよ。ミクちゃん、ゆかりちゃんの目を塞いじゃって〜!」

マキがそう言うと、ミクは大きくうなずき結月の後ろに回りこみ、目を塞いだ。結月が慌ててアタフタしているが、まぁ、ほっとくとしよう。

「ではでは!ここが私のお気に入りの場所です!」

マキが扉を開く。それと同時に眩しい光が俺たちを襲った。
ミクが結月の目から手を離し、その景色を見せる。

「……」

結月が驚いたように息を呑んだ。それは当然だろう、俺達の目の前には朱に染まった幻想的な空が広がっていた。

「どうどう?初めて見た時は私も驚いたんだ〜。ここの夕陽凄いんだよね〜」

何かあった時はここに来れば元気が出る、とマキはよく言う。元気が出るというのもわかる気がする。こんだけ凄いものも出れば自然と元気も湧いてくるというものだ。

「これは凄いですね。図書室もそうでしたが、ここはほんとに凄いですね。こんな夕陽初めて見ました」
「気に入ってもらえたようで嬉しいよ。明日のお昼ごはんは皆でここで食べよう!」

マキの提案に反対する人は一人も居なかった。

それから夕陽が沈むまで俺たちは屋上で色んな話をしていた。マキのバンドの話や、ミクの部活の話に、結月の前の学校での話など、話題は尽きることはなく、時刻は既にミクと合流し屋上に上がって一時間経ってい
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