再会
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2012年 7月24日
「あなたが詠月マコトさんですか?」
「……そうだけど、誰?」
「はじめまして、今日からあなたの義妹になりました、結月ゆかりです」
今から四年前、それが彼女との初めての出会いだった。母親を事故で亡くしたばかりで、当然というかなんというか、そんなの受け入れることなんてできるはずがない。その時期が丁度思春期真っ只中だったということもあるが、俺としてはなんの相談もなく、再婚を決めたのが許せなかったんだ。
「だから私のとこに来たわけだ。全く、あんたも子供だよね〜」
そうして俺は家を出て、幼なじみの弦巻マキの家に転がり込んだ。若気の至りとはまさにこの事か。しかしそんな俺にでも、マキのお父さんは経営していたアパートの一室を貸してくれたおかげで、今こうして俺は生活出来ている。
2016年 5月13日 月曜日
AM7:24
「で、なんでそんな昔のことを今言うんだよ」
朝食を食べながらソファに座り、テレビを見ていたマキへと問いかけた。個人的には恥ずかしい部類の思い出なのだから、あんまり思い出されてほしくないのだが
「いやさ、さっきテレビで家出少年の特集があってたから。あんた、家に帰るつもりは」
「あるわけないだろ。子供っぽいと思われるだろうけども、まだ親父を許してないからな」
マキが溜め息を付きながらソファから立ち上がり、こちらに歩いてきた。すると俺が食べようと箸を刺そうとした焼き鮭の盛られた皿を、取り上げやがった。
「お前、何してんだよ!冷めるだろうが、早く返せ!」
「返せ、じゃなくてね?もう四年だよ?いい加減顔でも見せないと、おじさん可哀想じゃん」
そう言われてもな。もうここまで来たらこのまま俺一人で生きていけるんじゃ
「なわけ無いでしょ、馬鹿なの?この部屋のお金だって、大体おじさん持ちじゃん」
それを言われると弱い。
「……考えとく。それよりも早く鮭返せ!」
「あっ!もう……」
AM8:32
「おっはよーーーー!」
マキが元気に教室のドアを開けて、ズカズカと中に入っていく。するとすぐに彼女に中心に人だかりが出来始めた。それは最早いつもの光景で、俺はそれを傍目にしながら自分の席へと向かうことにした。
「昨日のテレビ見たよ!マキちゃんカッコ良かったよー!」
「あはは、ありがと。でも途中失敗しちゃってね」
人だかりの中からそんな声が聞こえた。昨日の番組とは、日曜の昼に放送されている音楽番組のことだろう。マキは「jamバンド」というバンドで、ギターを担当しており、時々テレビで演奏をしている。そのためこのクラス、いや学校全体でも知らないやつはいないだろうな。
「おっすおっす。朝からお前の幼馴染さんも大変だな」
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