5部分:第五章
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第五章
「いいじゃない、結構」
「そうそう、これが中々」
「美味しいよ」
「スコッチにもビールにも合うし」
そしてまた酒を飲む。何時の間にかビールも出ている。
「ビールだって貴族はあまり飲まないしね」
友一はここでも言うのだった。
「ワインばかりだしね」
「何か階級ってあるんだね、今だに」
「イギリスって複雑だね」
「そうなんだよな」
またイギリス帰りの彼が言う。
「いや、俺な」
「ああ、間中」
「やっぱりイギリスって今でもそういうのはっきり残ってるんだな」
「そうさ、やっぱり階級社会なんだよ」
間中と呼ばれた彼、間中真墨は皆の言葉に頷いた。背はあまり高くなく黒い髪を右のところで分けている。顔立ちは精悍で黒目がちの目とやや斜め上になっている一文字の左右の眉が凛々しい。彼はその眉を少し顰めさせて言っていた。
「日本と違ってな。食うものも違うし飲む場所だってな」
「えっ、違うの!?」
「食べ物も飲む場所も全部!?」
「そうなんだよ。貴族はバーで飲んでな」
真墨はそのイギリスのことを皆にさらに話すのだった。如何にも面白くなさそうな顔で。話をしていく。
「一般大衆はパブさ」
「日本じゃ誰でも何処でも平気で入るけれどな」
「だよねえ」
「どんな店でもネクタイさえしてればそれでいいし」
「けれどイギリスじゃ違うんだ」
「貴族がパブに行けば変人だし一般大衆がバーに行けば高望みだ」
こう言い捨てるのだった。
「そうなんだよ。最初は俺も訳がわからなかった」
「何かさ、やっぱり日本とは別世界なんだよ」
友一も難しい顔をして皆に話すのだった。
「本当にね。そうしたところがね」
「何かイギリスをもてはやす人も多いけれど」
「そうしたややこしいところもあるんだ」
「意外と難しいんだね」
「日本はそんなことないだろ?」
真墨はまた皆に尋ねるのだった。
「パブとバーの違いなんてな」
「ある?」
「あまりないような」
「だよなあ」
皆ここでもまた怪訝な顔になって話をすることになった。やはりその間もイギリス料理を楽しみ続けている。もうその味がいいことはわかっていた。
「誰でも入られる。けれどイギリスじゃ違うんだよ」
「こうした料理も長い間貴族は食べなかったしね」
また言う友一だった。
「今日俺が作ってる料理ってさ。本当に一般大衆が食べる料理なんだ」
「向こうのだよね」
「やっぱり」
「そうなんだよ。流石に今は変わってきたかな?」
「俺が見てきた限りじゃ怪しいな」
真墨はまた顔を曇らせてきた。
「ついでにいえば味はな」
「こんなのじゃなかったんだね」
「はっきり言うな、今まで食ってきた限りじゃ比べ物にならない」
彼もまたローストビーフを食べている。そして
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