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第二章
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 実際に誰も好きになってやるものかと思った、先生の言っていることは本当に矛盾していて馬鹿なことだと思っていた。
 けれどだ、それでもだった。
 私はテレビを見てだ、あるアイドルに夢中になった、それで。
 そのアイドルについてだ、私はそのクラスメイトに話した。
「太原雅彦さんだけれど」
「ああ、マッチね」
「そうそう、マッチよくない?」
「私もいいと思うわ」
 実際にとだ、私はこう答えた。
「マッチは」
「そうでしょ、だから私最近はね」
「マッチの応援してるのね」
「歌も全部覚えて」
 私は彼女ににこにことしてマッチのことを話した。その太原雅彦さんのことを。
「シングルも集めてるの」
「アルバムは?」
「買ってるわ」
 彼女に笑顔で答えた。
「お小遣い使ってね」
「大変でしょ、お小遣い」
「もう全部マッチに使ってるのよ」
 シングルにアルバムに他のグッズを買ってだ。小学校の時から貯めていたお小遣いを殆ど全部注ぎ込んでいる。
「もうお小遣いなくなってるわ」
「それは大変ね」
「けれどね」
「けれど?」
「幾らお小遣い使ってもね」
 それでもとだ、彼女にこうも答えた。
「いいわ」
「本当にマッチ好きなのね」
「だってよくない?マッチ」 
 私は彼女に力説した、自分でも熱くなっているのがわかった。
「踊りいいし。歌だってね」
「上手よね」
「そう、それに顔だって」
「あんた好みなのね」
「そうなのよ」
 本当にとだ、私は彼女に答えた。
「もうあの顔見てるだけで胸が熱くなるわ」
「本当に好きなのね」
「好きで仕方ないのよ」
 それこそとだ、また答えた。
「だからね」
「それでなのね」
「シングルもアルバムもグッズも買って」
「コンサートは?」
「お母さん誘ってるわ」
 コンサートに行くお金はない、流石に。
 けれど知恵を使ってだ、私はお母さんを誘ってマッチのコンサートに一緒に行くことにした。それでだった。
「二人で行くのよ」
「そうして行くのね」
「そう、それでお母さんに武道館行こうって誘ったの」
「武道館?コンサート?」
「今度マッチのコンサートが武道館でやるのよ」
「何時するの?」
「来月。けれどね」
 お母さんに言った、けれどそれでもだった。
「来月の武道館なんかもうチケット全部売れてるってね」
「お母さんに言われたのね」
「そう、それで何馬鹿なこと言ってるってね」
「言われたのね」
「それでこの話はなくなったわ」
「まあ武道館のコンサートはね」
 考えてみればだ、私も。
「流石に無理よね」
「まあね、マッチ人気絶頂だからね」
「もう武道館のチケットは完売でね」
「とても行けないのね」
「そうみたい、だからコンサートはね」
 
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