3部分:第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三章
「もうな。どれだけまずいか」
「素材を殺すのがイギリス料理かよ」
「普通逆だよな」
「なあ」
皆その話を聞いて深刻な顔になり見合った。
「京都の料理なんかそうだよな」
「素材を生かしてどれだけだろ?」
「そういうのも作ってからだよ」
しかし友一はあくまでこう主張する。
「実際にね。じゃあ皆俺が作り終わるまでテレビターズでも観ててよ」
「ああ、あのDVDのか」
「それ観てもいいんだな」
「うん、それ観ててよ」
作る間皆にそれを観るように告げる。テレビターズとはイギリスの子供向け番組だ。着ぐるみの子供達が楽しく遊んでいる。我が国で言うとポンキッキのような番組だ。イギリスにおいては大人気だがアメリカの雑誌ニューズウィークではこの雑誌での欧州に関する話題の常として酷評されていた。
「その間に作るからさ」
「じゃあそうさせてもらうね」
「それじゃあな」
「よし、まずは」
彼は羊の内臓と玉葱やハーブを最初に見た。
「これでハギスを作ってそれからだね。後は」
こんなことを言いながらそのイギリス料理を作っていく。もう夜にはできていた。サラダにコーンスープはまずは普通であった。
「まあこれはな」
「イギリスじゃなくてもね」
「美味しいからな」
まずはこの二つが及第点だった。皆満足して食べる。
続いて出されたフィッシュアンドチップスもだった。皆満足して食べてそれからスコッチを飲んでいた。フィッシュアンドチップスもスコッチも合格だった。
「スコッチは美味いな」
「これは言うまでもないだろ?」
「そうそう」
スコッチについては皆最初からわかっているという感じだった。
「だってお酒だし」
「食べ物じゃないし」
だからだというのだった。
「それにウイスキーだけはさ」
「美味しいって言われてるからね」
「その通りだ」
英国帰りの彼がここでまた言った。
「イギリスにいる時はいつも朝飯を食っていた」
「朝御飯を?」
「それだけは美味かった」
イギリス料理においてよく言われることである。
「それだけはな。後はこのフィッシュアンドチップスとスコッチだけだった」
「イギリスにいる間ずっとそれ?」
「それだけで生きてたの?」
「本当にそれだけだった」
彼はうんざりとした顔で語った。
「朝飯と昼飯は大抵同じメニューで晩飯はパブだった」
「凄く栄養のバランス悪そう」
「確かにね」
皆それを聞いて顔を見合わせてしまった。
「他にはカレーばかりだった」
「いや、カレーはインド料理だぞ」
「イギリス料理じゃないわよ」
流石にカレーをイギリス料理と認める人間はいなかった。
「しかしそれだけか?」
「本当にそれだけしか食べてなかったの?イギリスで」
「本当にそ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ