はぐれそうな“天使”を救え
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「・・・」
ある日の朝、ギルドにつくと真っ先にある人物が目に留まり、俺は固まっていた。
「おう、シリル。今日は早いな」
「そうですか?」
俺にそう声をかけたのは上着を脱ぎ捨てた氷の魔導士。いつもより早く目が覚めたこともあり、ほんの少しではあるがギルドに早くやって来たのだ。そのため、ギルドにはまだウェンディもルーシィさんたちも来ていない。
「グレイさん・・・どうしたんですか?」
ただ、今はそんなことはどうでもいい。それ以上に気になることがあるからだ。
「あぁ。これのことか?」
そう言って彼は腕に大切そうに抱えている赤ん坊を俺に見せてくる。赤ん坊は口が寂しいのか、親指を窶食わえてチュパチュパと吸っている。
「拾ったんだ」
「えぇぇぇ!?」
グレイさんの言葉に驚いて叫ぶ。一瞬ジュビアさんとの子供なのかとも思ったが、普通に考えてそれはないよな。だってもしそうだったら、色々と問題が起こるだろうし。
「どこで拾ったんですか?」
彼が抱えている赤ん坊に視線を落としながら問いかける。こんな赤ん坊を拾うってこと自体明らかにおかしい気もするが、まずは事情を把握しないといけないだろう。
「仕事からの帰り道にたまたま通った牧場の干し草の上に捨てられてたのを見つけてな。近くに野鳥がいて襲われそうだったから、とりあえず連れてきたんだ」
なるほど・・・それにしてもこんな小さな子供を捨てるなんて・・・いや、待てよ?
「その牧場の子供ってことはないんですか?」
仕事の際にできるだけ近くに置いておきたい。だから干し草の上に置いていた何てことはないのだろうか?
「俺も確認はしてみたんだが違うって言われてな」
グレイさんも同じことを考えてたらしく、確認はしてきたみたいだ。ただ、その予想は外れていたそうだ。
「なんでそんなところに捨てられてたんでしょうか?」
「さぁな」
あえて牧場なんかに捨てる意味がわからない。でも置いてたわけじゃないとなるとそれしか選択肢がないわけだし・・・
「じーっ」
頭を悩ませていると、赤ん坊がこちらをじっと見つめていることに気付く。そのつぶらな瞳を見ていると、考えていたものがすべて吹き飛んでいくような気がした。
「だ・・・抱っこしてみてもいいですか?」
「あぁ」
グレイさんの腕から俺の元へとそっと渡される赤ん坊。落とさないように慎重に彼女を抱き抱える。
「あーうー」
すると、赤ん坊は俺の胸の中へとぎゅっと寄り添ってくる。こ・・・これは・・・
「ヤバイ・・・超かわいい」
グレイさんが抱っこしている時はなんだかボーッとしているように見えたけど、いざ抱えてみるとすごく甘えん坊なように感じる。その可
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