第五章
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「ですからお財布の残りには注意して下さい」
「そんなにいいものがあるんですね」
「そうなんですね」
「はい」
その通りだというのだ。
「くれぐれも」
「いや、それではです」
「お財布のことは覚悟しておきます」
「いいもの買わせてもらいますね」
「是非」
「はい、期待していますよ」
イシュトヴァーンは観光客達に笑って応えた、そしてだった。
土産ものの店に行った、すると。
そこにだ、レカがいたが。
赤いひらひらの膝までのドレスの様な服、白地の肩からかけるエプロンには赤やピンク、青や緑の草花の刺繍が入っている。赤の黄色の花がある赤い靴にピンクの生地に赤い花の刺繍が入った靴下が可愛らしい。
薄いピンクの肘までのブラウスにも花の刺繍があり頭のボンネットにも花の刺繍は奇麗に飾られている。そして髪の毛は左右でオレンジのリボンでまとめられている。
そのレカを見てだ、日本の観光客達は驚いて言った。
「いや、これは」
「奇麗ですね」
「ガイドさん可愛いですね」
「凄いいい服ですね」
「この服はです」
ここでだ、イシュトヴァーンが彼等に話した。
「このカロチャの服でして」
「刺繍もですか」
「服を飾っているこれも」
「はい、この地域の刺繍です」
まさにというのだ。
「カロチャの刺繍です」
「そうなんですね」
「いや、本当に奇麗ですね」
「ルネサンスの影響を受けているという説もあります」
この時代からというのだ。
「この服は」
「そうなんですか」
「ルネサンスのですか」
「イタリアの」
「そっちのですか」
「そうも言われています、それで十九世紀からです」
ルネサンスの後でというのだ。
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