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カロチャの刺繍
第四章

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 日本から来た観光客達を鉄道でカロチャまで案内した、カロチャまではブタペストまで二時間もかからなかった。
 それでだ、カロチャに来た日本人達は口々にこう言った。
「すぐだったな」
「そうよね」
「二時間もかからなくて」
「本当にすぐで」
「思った以上に近いな」
「ブタペストと」
「はい、カロチャはそうなんです」
 レカが彼等に笑顔で話す。
「ブタペストに近いんですよ」
「そうなんですね」
「いや、距離あると思っていたら」
「大阪と奈良まで位?」
「大阪と京都かも」
「神戸よりは遠いにしても」
「近いな」
 関西系の日本人達はこう言う、その彼等にだ。レカもイシュトヴァーンも流暢な日本語でガイドをしていった。
 そしてだ、イシュトヴァーンはレカに囁いた。
「じゃあ今から」
「はい、お店にはです」
「もうだね」
「連絡しています」
 既にというのだ。
「ですから」
「もうだね」
「後はあっちに行って」
 そしてというのだ。
「宣伝ですね」
「何気なくを装ってね」
「ヴェネツィアの商人になりますか」
「いや、ハンブルグじゃないかな」
 ハンザ同盟だった、イシュトヴァーンが出すのは。
「むしろ」
「地中海じゃなくてです」
「そうなるかな」
「内陸部ですけれどね」
 ハンザ同盟は北海の方だ、それでレカも言うのだ。
「どうなるでしょうか」
「何か我が国は商売ってイメージ少ないかな」
「イタリアやドイツと比べると」
「日本人もそう思っていないだろうね」
「むしろ日本人の方がですね」
「そうだね、世界的に仕事をしてるし」
 ビジネス、それをというのだ。
「そっちには長けてるね」
「ですよね、絶対に」
「けれどその日本人相手に」
「これからですね」
「仕事をしよう」92
「わかりました」
 レカは明るくだ、イシュトヴァーンに答えてだった。先に次の行き先に向かった。残ったイシュトヴァーンは観光客達にこう言った。
「次の場所ですが」
「はい、何処ですか?」
「次はお買いものと聞きましたけれど」
「何処に行くんですか?」
「何処でお買いものですか?」
「こちらです」 
 イシュトヴァーンは商店街の方を指し示して言った。
「こちらでどうぞ」
「そっちで、ですか」
「お買いものですね」
「今から」
「ここには凄いものがありますよ」 
 イシュトヴァーンも明るい笑顔だった、ただし七分は営業用である。
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