第二十五話 思わぬ再会その四
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「ありますけれど」
「ふうん、そうだったの」
「けれどこうして集まったのははじめてですよ」
つまり何もかもががじめてらしいです。天理高校は他の学校とはかなり違った部分が多いですけれどそうしたことも全然知らないみたいです。
「本当に」
「まあ少しずつ覚えていけばいいわ」
とりあえずこう言いました。
「少しずつね」
「じゃあ頑張らずにやります」
「頑張りなさい」
ここで頑張らないなんて言うのがこの子みたいです。
「頑張らないと何になるのよ」
「何かになりますよ。まあそういうことは」
「そういうことは?」
「先輩がリードしてくれてなりますから」
「何で私なのよ」
最初に会った時と全然変わりません。このいい加減さにはまたりっぷくを覚えました。
「自分一人でやりなさい、そういうことは」
「だって天理教でしょ」
「?そうだけれど」
今の言葉には何か急に引っ掛かるものを感じました。
「けれどそれがどうしたのよ」
「夫婦揃ってじゃないんですか?」
「何でそんな言葉知ってるのよ」
思わず阿波野君に聞き返しました。
「天理教はじめてなのに」
「本屋で読みました」
おぢばには天理教の本専門の本屋さんもあります。そこで天理教の本を買うことができます。私も子供の頃から買わせてもらっています。そこでしょうか。
「何か色々置いていますね」
「おふでさき?読んだのは」
「確かそうだったと思います」
今一つはっきりしない返事でした。おふでさきが教祖が書き記されたもので天理教の原典の一つです。和歌の形式を取っており全部で一七一一首あります。
「そこにちょっと書いていた。和歌だったかな」
「じゃあおふでさきね」
ここまで聞いて全部わかりました。
「それは。歌なんでしょ」
「ええ、じゃあそれですか」
「もう読んでるなんて」
少し驚きでした。まだ高校に入ったばかりなのに。
「凄いわね」
「いやあ、それ程でも」
「調子に乗らないのっ」
最初に会った時から思っていましたけれど本当に調子に乗り易い子です。根が明るいとかそんなのじゃなくて能天気で。何でこんなのなんでしょうか。
「そんなのだからね。君は」
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよ。そもそもね」
会って二回目なのにまた怒ってしまいました。
「最初に会った時から思っていたけれどその軽薄さが」
「怒ると健康に悪いですよ」
「誰がそうさせてるのよっ」
りっぷくが続きます。この子といたらいつもこんなのです。会ってまだ二回目なのに。何でこんなふうになってしまうんでしょうか。
「君が悪いんでしょ、全く」
「そんなに怒ってばかりだと本当に身体に悪いですよ」
「他人事みたいに言わないのっ」
さらにりっぷくを覚えました。
「全く。
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