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八神家の養父切嗣
三十五話:予言
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るってことやからね」

 今更ながらに六課の歪ともいえる構成に納得がいったなのはが頷く。その横ではフェイトが内部に何かしらの敵がいるという状況に頭を悩ませていた。元来、人が良すぎる彼女は基本的に人を疑うということをしない。

 そう言ったところでは兄のクロノに比べて暗部に踏み込む力が弱まってしまう。しかし、逆にクロノではできない被害者に寄り添うということができるために一概に悪いとは言えない。

「でも、最後の新たな世界は産み落とされるっていう部分はどういうことなんだろう?」
「解釈としては恐らくは新しい政治体制という意味合いではないかと」
「そう言ったところから政治的テロの可能性も検討されとるんよ」

 その後も予言の解釈についてあれこれと話をする五人は知る故もない。その言葉に比喩や偽りなど含まれていないということに。常人である彼らには思い至りもしない。





「ただいま、ヴィヴィオー。いい子にしてたー?」
「あ、おかえりなさい」

 帰宅し子どもに真っ先に会いに行く女性。そして待ち侘びた人物の到来に飛び跳ねるように駆け出していく子ども。いつ転ぶか分からない危なっかしい子どもの足取りを心配そうに見つめる瞳。子どもが自分の下へ辿り着いたと同時に抱き上げ慈愛に満ちた微笑みを浮かべる。

 その様子はどこからどう見ても親子にしか見えない。だが、二人は真の親子ではない。ヴィヴィオとなのはに呼ばれた少女は以前に地下水路から現れた少女のことだ。現在ではなのはが保護をしており常に彼女にべったりで出かけるのにも苦労するほどである。

 一見すればどこにでもいる普通の少女であるが彼女の背負うものは重い。遺伝子検査から判明したことはヴィヴィオの生まれは普通の生まれ方とは違うといった点だ。人造魔導士、それも今から数百年前の人間の遺伝子と記憶を上継いでいる可能性が高いときた。

 何らかの実験によって生み出され、利用される為に運送されていた途中で逃げ出してきたと考えるのが適当であろう。これからもこの子の身に災厄が降り注ぐかもしれないと思うといたたまれない気持ちになり力を込めて少女を抱きしめるなのは。

「どうしたの?」
「……ううん、何でもないよ」
「へんなの」

 キョトンとした顔で自分の瞳を真っすぐに見つめるヴィヴィオの頭を撫でる。新しい保護者が見つかるまでの間は自分がこの子を何としてでも守らなければならない。いや、このあどけない笑顔を守りたい。なのははそう強く願う。

「エリオとキャロもヴィヴィオの面倒を見てくれてありがとうね」
「いえ、私達も楽しかったですから」
「はい。なんだか懐かしかったですし」

 なのはが聖王教会へ向かっている間にヴィヴィオと遊んでもらっていたエリオとキャロ。この二人も辛い
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