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八神家の養父切嗣
三十五話:予言
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唱する。自分達と何かしら関係がある単語。それは自分達の出会いの原点であった。これがなければすべての奇跡は、出会いはなかったと言える物。それをめぐって何度もぶつかり合ったロストロギア。

「願望の石……ってもしかして?」
「ジュエルシード…?」
「確証はないが僕はどうもそんな気がしているんだ」

 ジュエルシード。願望を叶える性質を持った宝石のようなロストロギア。これだけ言えば喉から手が出るほどに欲しいものに聞こえる。しかし、そんなに上手い話など現実にはない。ジュエルシードは願いを歪んだ形で叶える。

 それが高い知能を持つ生物であればるほどに歪みは大きくなり力も比例して大きくなる。要するに実用性など皆無だ。何故作ったのだと本気で制作者に聞いてみたいような代物であるのだ。

「そんな……でもあれは管理局がちゃんと管理しているはずじゃ…!」
「研究所に研究で貸し出した際に紛失して行方不明中や。12個全部な」
「嘘……それってどう考えても……」
「ああ、意図的に紛失という形で扱っているだけだろうな」

 衝撃の事実に驚愕の表情を浮かべるなのはとフェイト。1つ2つであればまだ納得も行くが12個全部など故意に無くそうとしなければ無くさない。1つで世界を滅ぼしかねない物をそれだけの数失ってしまえば普通に考えて大問題である。

 マスコミにでも知られれば管理局の大失態と新聞の一面を賑わすことは間違い無いだろう。しかし、なのはやフェイトは知らなかった。もし、普通の失態であればただ単に批判から逃げるために管理局が意図的に隠しているだけだろう。だが、これはそれとは毛色が違う。

「初めから紛失という形でどこかに横流しにするために仕組まれていたと考えるのがいいかもしれないな」
「どうしてそんなことを……」
「陸と海だけやない。管理局は一枚岩でいるわけやない。色んな思惑が渦巻いとる。直接関係しとるかは分からんけど今回の件はそういったもんがからんどると思うんよ」
「騎士カリムには大変お見苦しいところを聞かせてしまって申し訳ないが、我々も色々とありまして……」
「いえ、そういった面は神の家である教会ですらありますから。でも、私はあなた達は信用できる人だと信じています」

 渦巻く陰謀は何も一つに限ったことではない。幾多もの欲望が複雑に絡まり人間社会を形成している。汚らしいものだ。しかしそれも人間の一面であることに変わらない。もし、それらを否定すれば人間社会は容易く崩壊し、人は人でなくなるだろう。もっとも、優しい人間であればあるほどにその事実に絶望するのだが。

「ありがとうございます。六課の面々も全員がはやてが集めた信頼できる者達です」
「そっか、だから身内ばっかりなんだね」
「そういうことや。私の人生最大の幸運は人に恵まれてい
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