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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十八話 襲撃(その2)
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ビーネを皇位につけるために誰かエルウィン・ヨーゼフを排除して来い、そう言う事です」
「違う、そんなつもりは無い。本当だ、信じてくれ、殺さないでくれ」
本当に殺されると思っている。どうするんだろう…。

「そちらの方々に聞いてみましょう」
少将はそう言うと貴族たちに向き合った。全部で五人いる。皆顔が引き攣っている。
「あなた方は、何故屋敷に入ったのです?」

「オッペンハイマー伯に誘われたからだ」
「誘われた?」
「屋敷にオッペンハイマー伯から連絡があって、リッテンハイム侯の屋敷の前で会おうと」
どうやら皆同じらしい。しきりに頷いている。

「オッペンハイマー伯からは他に言われた事は?」
「…自分がいれば、何も心配はないと、それからこちらのフロイラインが次の皇帝だといわれた」
「エルウィン・ヨーゼフ殿下の暗殺を相談したことは?」
「そんな事は話していない!」

「エリザベート・フォン・ブラウンシュバイクの暗殺は?」
「話していない」
「間違いありませんね」
「間違いない」
怒り? 恐怖? こっちも皆震えている。

「どうやら皆さんはオッペンハイマー伯にうまく煽られたようですね」
「どういうことだ?」
「お解りになりませんか。職権を利用して皆さんを一箇所に集める。その上で次の皇帝はサビーネ・フォン・リッテンハイムだと告げる。その気になった誰かがエルウィン・ヨーゼフ殿下、エリザベート・フォン・ブラウンシュバイクを暗殺する。そしてサビーネ・フォン・リッテンハイムが皇帝になった時、自分の功を訴え、利益を得ようというのでしょう」
「オッペンハイマー、貴様!」

「落ち着いてください侯爵、オッペンハイマー伯は、軍法会議にかけます。命令違反、上官侮辱罪、さらに自分の私利のために皇位継承の有資格者の身を危険にさらした事、反逆を煽った事。これだけの罪状です、まず死罪は免れないでしょうね。軍人としての地位も貴族としての爵位も全て剥奪した上で死罪となるでしょう。」
オッペンハイマー伯はしきりに首を振って何かを訴えようとしている。しかし誰もそんな彼を助けようとはしない。リッテンハイム侯は憎々しげに見るだけだ。

「皆さんもこの場で死罪です。警備を破ったのですからね。死体袋もある」
「まて、ヴァレンシュタイン、我々は騙されたのだ、許してくれ」
リッテンハイム侯が哀願する。
「確かに、本当に悪いのはオッペンハイマー伯ですからね。…今回は特別に許しましょう。但し、今回だけです」
「もちろんだ、感謝する」

「それより困った事があります」
「なんだ、それは」
「この件は後々大問題になるでしょう。リッテンハイム侯を敵視するものたちは必ずこの件で侯爵を攻撃するはずです。皇帝陛下不予の折、リッテンハイム侯は徒党を組み、
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