機動戦艦ナデシコ
1285話
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「んん……うん……ああ……」
耳元で聞こえてきたそんな色っぽい声で意識が急速に覚醒していく。
誰だ? レモンか……いや、シェリルか?
まだ意識が朦朧としている中で、いつも感じている柔らかい感触を楽しもうと手を伸ばしてその声の主を抱き寄せる。
頬に感じる柔らかい感触に安堵し……だが、次の瞬間には決定的な違和感に気が付く。
頬に触れるその感触は、確かに柔らかい。だが、俺が知っているレモン達の感触とはどこか微妙に違う、馴染みのない感触だった。
そして何より、匂いが違う。
それが急速な違和感として俺を襲い、覚醒しつつあった意識の速度をより高め……やがて目を開いた俺の前にあったのは、肌色の染み1つない裸身。
ただし、その裸身の持ち主は俺が知っていても、こういう関係になるような人物ではないのは明らかだった。
「んん……何よ、もう。もう少し休ませてよね。昨夜あれだけ……」
艶っぽい様子でそう言葉を漏らすのは、ハルカ。
当然俺の前には向き出しになった豊かな双丘が存在しており、それどころか俺が顔を押しつけてグニュリとその形がひしゃげている。
そして……
「スー、スー……」
もう1つ、背後から聞こえてくるその寝息。
そちらの方へと視線を向けると、そこではこちらもまたエリナが一糸纏わぬ姿で、シーツだけを身に纏って眠っていた。
俺の部屋は普通の部屋より多少広い部屋ではあるが、それでもホワイトスターにある俺の寝室よりも広い訳ではない。
ベッドも普通よりは少し大きめだが、シングルとダブルの中間程度の大きさだ。
そんなベッドの上で3人もの人間が寝ているというのは、相当に窮屈だった。
いや、窮屈どころか殆ど密着していると言ってもいい。
その上、俺が眠っているベッドのシーツは色々な意味で見てはいられない状態になっているし、エリナのものと思われる赤い血の痕まである。
……これがどういう意味の血なのかというのは、今の俺達の現状を見れば明らかだろう。
そこまで考えると、急速に前日の記憶を取り戻していく。
ああ……そうだった。確かパーティが終わった後で、何故か俺の部屋で飲む事になって、そのまま悪酔いしたエリナにワインを飲まされそうになり、それを回避したのはいいけど、その隙をハルカが突いたんだったよな。
で、これまでにも何度か経験してきたかのようにアルコールを飲んだ瞬間に意識がなくなり……この有様、か。
少しでも身体を動かせばハルカやエリナの柔らかい感触が身体中に触れてくる今の状況は、蛇の生殺しに近い。
……が、そうも言っていられないというのを、部屋の中にある時計が……より正確にはその時刻が示していた。
午前10時30分過ぎ。
今日の仕事は午後からだから、まだ遅刻にはならない
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