第一話ー滅魔士ー
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怯えたのか気になるがまぁこーんな広大な草原じゃ検討もつかんのが本音だ……ってこんな道通るってことはおっさんもしかしてこの道の先にある村に?」
荷台に積まれた荷物の中に、今朝旅立った村の特産のお酒があるのが目につき、方向から考えて俺はとっさにそんなことを言っていた。
「あぁ。この先にある一枚岩までたどり着けば村が見えるさ」
おっさんが指さした方向には確かに大きな一枚岩が草木から顔をのぞかせているのが分かる。そこまでの距離は目測でも200m。ここで会ったのも何かの縁だろう、と俺は率先して荷台の後ろに回り運んでいく準備をし始める。
「んじゃ、ここで会ったのも何かの縁だし俺もその村に用あるから村まで付き合うぜ。俺が押すから道の細かい調整頼むぜおっさん!」
「そ、そこまでしてくれるんかいあんさん!?悪いよそんなの!あいにく手持ちもないからお礼も……」
「気にすんな!まぁ、あれだ。村で一泊位するつもりだし、いい宿しってたら紹介してくれ。それでチャラってことでどうよ」
ギブ&テイクの差が随分と激しい気もするが、魔に関わる問題でもない為お礼を貰おうとはそうそう考えないのが滅魔士、と昔教わったような気がする。
でもどの道対して苦でもないので全然オッケーだ。
だがどうにもおっさんは渋い顔をしている。というより俺の服装をじっと見つめている。
「それでいいなら俺はいいが……あんさんひょっとして滅魔士、なのか?その服装、前見たことのある滅魔士とはちと違うがそんな珍しい服、俺達庶民にゃぁ無縁だからな」
俺の服装はジーンズに黒シャツ。中には黒いタンクトップを一枚。対するおっさんはさっきも言ったが布だ。
つまり、あからさまに俺の服は普通ではない。
ではなぜおっさんが俺の服装から滅魔士をと断定できないのかは理由がある。
それは、滅魔士の規定の服装ではないからだ。本来の滅魔士ならば、ジーンズに黒シャツ、ここまでは俺もそうなのだが、俺は前を全開に。対して規定では前をきっちり閉め真っ赤なネクタイの着用がルールなのだ。
だからこそ、おっさんは俺が滅魔士だとすぐに気が付かなかった。
ちなみに、この服の素材は魔の皮や骨で、人間が着用すれば濃度の高い魔素に充てられ最悪の場合死ぬこともある。
「・・・って訳よ。俺はけっこー昔から滅魔士やっててよ。今の滅魔士協会の規定だ規則が大っ嫌いなんよ。察してくれるかね?」
今の説明をおっさんにしながら荷台を動かす俺達二人。それにおっさんも中々に理解ある人の様でそれ以上深くは聞いてこなかった。
しばらく他愛もない会話を続けて荷台を押すこと十数分、ようやく俺達は一枚岩の元までたどり着いた。そこは周りと比べて少し山になっており、この広い草原を一望することができた。
視界の端
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