第一話ー滅魔士ー
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近づくときに殺気むき出しのバカがどこにいるよ。てか、これみりゃ信じるか?」
帯刀している魔刀を引き抜き、居合の構えで振り切る。苦くもその斬撃は避けられてしまったが、完全に意表を突かれた吸血鬼は体制を崩し屋根から転落した。
俺はその隙を見逃すことなく、後を追い屋根から飛び降りた。
「そ、それは・・・!魔武具!?まさか・・・本当に・・・!!」
「可愛い子を斬らなきゃなんねぇのが・・・この生き方のつれぇところだッ」
夜の空に、鮮やかな血しぶきが舞った。
「依頼されてた件、片ぁついたぜ。村長さんよ」
翌朝。俺は吸血鬼を無事始末したことを昨日の廃墟から森をはさんで隣にある村の村長に伝えるべく村長の家に早朝から出向いていた。
ドアを数回ノックすると以外にも朝が早い村長はすっきりした顔で出迎えてくれた。
「おぉ!まだ数日しかたっていないというのに・・・いやはや!恐れ入ったぞ。流石は滅魔士最強と謳われるお方!」
「なぁに、この村には可愛い子がたくさん住んでる。頑張って当然よ!」
「謙遜せずともよいよい。と、報酬をまだ渡していなかったな!失敬、これが今回の報酬じゃ」
白髪で腰も曲がり始めて最近では杖が必要と嘆いている村長の貫禄のある手には白い巾着が握られており、大きさは大人の拳ほどだ。中には金貨がはいっているらしい。
ちなみに、銅貨、銀貨、金貨がこの国の通貨であり、価値は言わずもがな。
「ありがとよ。あぁ、それとこの前聞いた探してる女の事なんだが・・・」
「あぁ、ちゃんと村の者にも聞いた。しかしすまない。誰もそんな人見ていないそうだ・・・この先東に進むと小さな村がある。そこで足を捕まえてさらに東、大きな街に向かってみることをお勧めするぞ」
「そうか・・・まぁ、そうしてみるさ。で、俺はもう行くが、またいつかこの町に立ち寄らせてもらうぜ。ここの酒、旨いからな。それじゃぁ達者で」
貰った報酬を腰のポーチに仕舞、村長が言っていた東の方向に歩き出す。
早朝であるから進行方向に太陽があり、おもわず一瞬手で顔を覆ったが、すぐに目が慣れ、ゆっくりと空を眺めると涼しい風が吹き、空の雲がゆったりと流れているのがなんとも爽やかな朝を思わせる。
目の前に広がる景色は膝丈ほどの青々とした草で生い茂る草原と、その真ん中、隣の村まで続く舗装された小道だけだ。
「んー……っにしてもいい天気だ」
腕を空に伸ばしながらもそう思わずこぼしたが心中ではさっき村長が言った最強の滅魔士、について思慮を巡らせていた。と、いうのも俺は滅魔士の歴史が始まって以来の異才であったと周りに評価されているも、俺は知っている。本当の、本物の最強を。だが、そい
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