第二部 過去と今
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午前六時半、学校の屋上に居座ったままだとまずいということで、望月町の西商店街にある氷撫さんのお店、ホワイトムーンに場所を移した。
予想通りあの大型怪異を倒した後には近隣の住民の姿もちゃんとあったし、時計もちゃんと動いている。
「結、聞こえる? 氷撫やけど。」
『うん、全員無事みたいでよかった。』
「それでな結、一つ頼みたいことがあるんよ。さっき新種の大型が現れる前に青い髪の女の子と出会ったん、その子この辺じゃあ見かけない子でな。それにちらっと見えた左手の指輪、デザインからして宿祢以上のお家柄の子なんよ。ウチのデータベースには引っかからなかったからな、ちょっとそっちで調べてくれへん? 」
『今受信するわ……。データベース一致。怪異師北上派北上本部所属、真人直(まひとあたえ)の北上沙夜(きたがみさよ)って子ね。』
北上と南海。
僕がいるこの望月町は南海派に所属しているのだけれども、かつて南海派というのは僕たち異界師を寛容に受け入れてくれていたのだけれど、一方の北上派というのは異界師を忌み嫌い、異界師を執拗に苦しめてきた派閥だ。要するに北上は僕の敵。
さっきの青髪の女子生徒が本当に北上本部の人間ならば、僕はきっと狩られてしまうのだろう。
「聞いたことあるなぁ、その子【闇の弓術師】って通り名だったような。ほら、南海派の真人直の南海(みなみ)槙(まき)陽(よ)ちゃんと対で言われてる子や。槙陽ちゃんは【光の銃術師】って通り名で……。」
『とりあえず南海本部に私が連絡を入れておく。みんなは一旦望月本家に来てくれる? 新型と戦ったのだから異界石と武器の様子、メディカルチェックを受けた方がいいと思うの。』
「まあ細かい話は後で結城に報告させるとして、特に彩樹はメディカルチェックをした方がいいやろし、わかった。今から車で本部に向かうわ。メディカルチェックの準備を淳義に頼んどいてな。」
『了解、きっと大丈夫だろうけど彩樹くんの扱いだけは丁寧にね。北上に悟られたら面倒だし。』
そのあと二人は少し先ほどの戦いの報告をしあって電話を切った。
ここにいる全員で氷撫さんの運転する七人乗りの車に乗り込む。
「彩樹、さっきあの怪異にやられた右腕、大丈夫なのか? 」
「とりあえず今は大丈夫って感じかな。直撃のわりにあんまり酷い怪我じゃないよ。もしかして嗣柚、さっき僕が触るなって言ったの気にしてる? 」
「いや、それは全然気にしてない。むしろ気になるのは彩樹自身じゃなくて右腕だからさ。」
冗談交じりに嗣柚は笑って見せる。
こいつ、こんな感じだけれど根は優しくっていいやつだったりする。
戦いに怪我なんてつきものだし、いつ誰が怪我したっておかしくない。
それでも誰かが負傷したら必ず心配する。
「彩樹くん、思いっきりワイシャツ破けちゃってるもんね。それで
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