第一部 異変
04
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るしかない。
「なんだか知らないけれど、僕が気に食わないならすべて壊してみろよ! 異界師をもてあそぶのもいい加減にしろよ! 」
対の短剣を回収するわけではなく、その片方の剣で怪異に歯向かっていく。
左手に持った短剣を怪異の右目に刺して、その剣に蹴りを入れる。
「なめんじゃねぇよっ! 」
もう一度剣を右目から引き抜いて左目に刺しかえる。
同じようにその剣に蹴りを入れると、一旦地面に降り立つ。
対の剣を手に取ると、左の剣を目から引き抜いて最後にふたつを怪異の胸に突き刺す。
「これでラストだっ! 」
剣は突き刺したまま地面に降り、ブレスレットを右手に握ったまま地面にかざす。
僕らは【異界陣】と呼ぶいわば魔法陣にこの大型種を閉じ込めると、その異界陣の中から紋章を手に入れる。
僕の本当の仕事はこれだ。
世間はこの仕事を忌み嫌い、僕を陥れるんだ。
「……彩樹、やってくれたなぁ? 久しぶりに彩樹の本気見たわ。まあウチとしてはあの怪異の石を鑑定したかったけどなぁ、結果オーライや。」
氷撫さんは口ではそう言うけれど、きっと本心じゃない。
久しぶりにまた世間の怒りを買うことをした。
今更僕が後悔しても遅い。
「彩樹、どんな形であれ新型を討伐できたんだ。異界に怪異を戻したこと、あんまり気にするな。」
「結城先輩……。」
先輩は僕の頭をポンポンとたたきながら右腕の腕時計を見る。
「それにこのあたりの時空の歪みはあの怪異の仕業みたいだな。時計が動き始めた、きっとこれでさっき言っていた不気味な現象は改善されるだろう。」
時計?
みんなも同じように疑問に思っているようだ。
「嗣柚、一番初めに俺が連絡した時刻確認できるか? 」
「あ、はい! 着信履歴……っと。午前六時一分です。」
「ありがとう嗣柚。舞姫も確認できるか? 」
「ええ、今確認するわ。……私の携帯も午前六時一分になってる。」
午前六時一分、僕の携帯電話の着信履歴もその時刻を表示していた。
「そして今の時刻は午前六時四分を過ぎたころだ。要するに、怪異の大量発生はあの大型種登場の前哨戦で、町から人が消えたように見えたのはこの望月町の時空が歪んでいたからなんじゃないかな。」
「なるほどな、まあこれで謎が解けたっちゅうことでこの件はもう終わりにしよ。もう一つ、ウチが気になるのはな、あの青い髪のあの子や。ウチの仮説が正しいのなら、あの子は望月、言うてしまうと南海派の人間ではなさそうや。それにちらっとしか見てへんから定かではないかもしれんけど、あの子の家は宿祢(すくね)以上の家柄やね。」
「氷撫姉さん、あの子のデータとかとってくれた? 」
「当たり前やん。あんな危ない子ほっといたらいけないからね。結にでもデータ送って追いかけないと。」
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