第一部 異変
04
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返事をする。僕ももう一度双剣を持つ手に力を入れる。
「氷撫さん、今回の指揮は俺に執らせてください。」
「うん、せやね。ご当主様の策略、楽しみにしとるで。」
結城先輩はうなずいて手に持った鉈に力を込めて言う。
「これより新型種討伐を行う。全員新型が現れ次第攻撃を始めるように。何か気づくことがあったら俺に言ってくれ。
―そうだな、最初はフェンスの上にスタンバイして、登場と同時に上からの奇襲を仕掛けよう。」
僕は屋上の南方向のフェンスによじ登り、静かに身を潜める。
「侵入まで残り五秒、四、三、二、一……。全員突撃! 」
結城先輩の合図で怪異は登場、その場にいた全員がフェンスの上から怪異に向かって攻撃を仕掛ける。全員が怪異に斬りかかると、怪異も攻撃を始める。
南側、僕のいる方向に向きなおして最初の攻撃を入れる。
大型の怪異とは何度か戦ったこともあるし、データでたくさんの種類を見てきたが、この怪異はやっぱり見たこともないし、他の種類の亜種というわけでもなさそうだった。
僕がどこに降り立っても怪異は僕の方向に攻撃を仕掛けてくる。
「結城先輩! おそらくこいつの狙いは僕一本なんだと思います! 」
「了解! 確かめるから彩樹、敵を攪乱してくれ! ほかのメンバーはなるべく同じ場所で戦闘を続けてくれ! 」
きっと、こいつのターゲットは【怪異術師】じゃない。【異界術師】である僕一人なんだ。
そんな解釈に至るのに時間は掛からなかった。
「敵の狙い、やっぱり彩樹だな。彩樹は攪乱し続けてくれ、他のメンバーは集中的に攻撃を仕掛けていこう! 」
「了解です! みんなよろしくお願いします。」
青髪の女子生徒が結城先輩にかけた言葉、
『監視対象の【異界術師】も、すべて容赦ない。』
まるでこの新型種の存在を知っているかのようだった。
護るなら戦え、あの人はいったい何者だったのか。
僕は普通にいれば【怪異術師】と何ら変わりないのだけれども、【異界術師】と【怪異術師】の違い、それは怪異の取り扱い。
【怪異術師】は異界石に怪異を閉じ込める、けれども僕たち【異界術師】というのはそうではない。
今のご時世、【異界術師】は怪異を殺せない。
時代が殺させてくれないのだが。
そんなことはどうでもいい。
なぜあの青髪の女子生徒は僕が【異界術師】だということが分かったのだろうか……
「彩樹、危ない! 」
結城先輩の声がして振り返ると、すぐそこにある時空波を溜めた怪異の腕が僕を襲う。
「……っ! 」
右手の剣が飛ばされ、強く地面に叩きつけられる。
―まずい。
「彩樹、大丈夫か? 」
「待て嗣柚、触っちゃだめだ。」
当たり所が悪かった、時空波が直撃した右腕はきっと時間差で壊れるだろう。
時空波が発動しない条件。
早々にこの大型との片を付け
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