第一部 異変
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ようになってるだけましかもしれんけど、誰もいない街なんて不気味なだけやんか。正直怪異の大量発生だけでも特定できた、としてもこの不気味な現象をあの二人がどう処理するかわからへん。それに、ウチらだって気にしなきゃ気にならんことやったし、最悪あの二人がこの現象に気づいてないこともありうるし。だからウチは簡単に収束しないんやないかと思ってるんよ。」
怪異師だけ怪異に遊ばれている。
もちろんこれは怪異の本音だとか策略ではないと思うけど、なんとなく氷撫さんの言うことはわかる。
「ここらの怪異は数減ってきたなぁ、よし! もう一息ってところみたいやね。」
「いや、待ってください! 」
氷撫さんの言葉に待ったをかけたのはこれまであまり口を開かなかった結友那だった。
「壁の外……厳密にいうと校舎の屋上を見てほしいです。」
戦闘をしながらだからあまり注意深くは見えないが、壁の外を徘徊している怪異たちが一斉に屋上に集まり始めていた。
「なんだよあれ……。」
嗣柚が一旦地面に降り立って顔をしかめる。
「結友那、絶対この中の怪異を逃がしちゃダメやで! はよここの奴らを殲滅して何が起こっとるか確認せんと……。」
「わ、わかりました! できたらこれ以上の侵入を正門からできないように張りますね! 」
「結友那、無理だけはせんようにな。」
「氷撫さん、浮遊型もう少しで殲滅できそうです! 」
「俺の方ももう少しです。目視であと九体! 」
僕たちの担当も、結城先輩の担当もほぼ同時に片が付いて、最後の怪異が地面に落ちた。
「数だけは立派だったなぁ、これは鑑定に時間かかりそうやけど、いい収入になるんちゃう? 」
怪異を怪異師が倒すと【異界石】というアイテムに変換される。
怪異師はこれを鑑定に出して収入を得る。
氷撫さんはこの鑑定士をしていて、指をパチンと三回鳴らすと、怪異石は氷撫さんの持つ袋に集まっていく。
「さて、と。本当の課題はあっちやね。ただならぬ空気を感じる。みんな、気ぃ張って行くよ? 」
とても嫌な予感がする。
本能的に、あの空間を嫌がっている。
そんなことを言ってしまったら逃げ腰だという風にとらえられてしまうかも知れないけれど、とにかく危ない、そんな気がする。
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