第一部 異変
03
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片付けるのがよさそうやな。』
「そうですね、これだけの怪異を相手にするなら氷撫さんの指揮が必要かもしれないですね。」
結城先輩がそういうと、氷撫さんは竜の姿から元の姿に戻る。
舞姫先輩と氷撫さんが数を減らしたとはいえ、まだ数多くいる怪異を早急に討伐しなければいけない。異常発生の怪異の問題と町の異変。解決しないといけない問題はまだまだたくさんある。
「嗣柚と彩樹は浮遊型を地面に落としてほしい、その落ちた怪異を舞姫が討伐する。半分が浮遊型やしこれが一番効率いいやろ。結友那は浮遊型とほかの型をなるべく分けて壁を作ってな。んで、あとの半分は結城、一人でできるやろ? 」
「了解です、じゃあまずは私が分別して誘導しますね。任せてください! 」
「よし、彩樹! 舞姫先輩のアシストやってやろうぜ! 」
一歩助走をつけて嗣柚が壁の左側に集まった浮遊型を薙ぎ倒していく。
『彩樹くん、下は任せてね。』
舞姫先輩がウインクをすると、僕も軽くうなずいて浮遊型に刃を食い込ませる。
「それにしても、どうしてこんなに大量にいるんですか、氷撫さん。」
壁の右側で戦う結城先輩が氷撫さんにそう問いかけると、氷撫さんは考えもせずに
「ウチは知らんよ。きっと今頃淳義(りょうぎ)と結が必死に調べてるんちゃう? とりあえず何かわかったら結から連絡が来るっちゅうことになってはいるんよ。」
怪異の討伐と生態解明を主とする【怪異術師支部】という組織があって、その上層部の人間である淳義さんと結さんは戦いも専門とするけれど、どちらかと言うと組織の参謀担当であって、こういった緊急事態(めったに起こる訳じゃない)の時にいち早い収束のために働いている。
と言っても僕もこの参謀担当の仕事のすべてを知ってるわけではないけれど。
「けれどなぁ、先に言っとくけどこの緊急事態っちゅうのは簡単には収束しないで? なんせ怪異だけじゃなくってこの辺の……なんちゅうんやろうな、【時間軸】みたいなもんのバランスだっておかしくしてるんや。」
と、氷撫さんは続ける。
「【時間軸】というのは? 」
「ああ、結城。別にこの言葉に意味みたいなのはなんもないで? ただ名前がないこの現象に今ウチが名前を付けたみたいなもんや。ほら、みんな思い出してみぃ? 各々の家からこの月駒高校まで誰か……いや、なにかって言ってもいいかもしれんな。怪異師以外の何かしらの生き物に会ったか? 」
結城先輩は果実型の怪異に鉈を振り回しながら少し考える。
氷撫さんのいうことは僕がさっき感じ取った異変のことなんだろう。
まるで街に誰もいないかのようなあの感じだ。
「いえ、きっと何にも。あまり気にしなかったので断定はできませんが。」
「せやろ? まるでウチら怪異師だけ怪異に遊ばれてるかのようや。いつもみたいに民間人に被害が及ばん
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