第一部 異変
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ん尻尾を巻いて全速力で走る僕の後ろ側には優雅にふわふわと浮遊移動する数百匹の怪異が追いかけてきている。
「そうなんです! こんな大量に一人じゃ無理だと思って、だから僕より学校に近い二人ならもう学校にいるんじゃないかと思ったんです! 」
「まあ気持ちはわからんくもないけどなぁ……。見る限りうちら三人でも無理そうな数やんか。なんでそんな数が彩樹のところに集まってるんやろうな? 」
「氷撫姉さん、口を動かすよりも怪異の相手をする方が先だと思うわ。後から来る嗣柚と望月(もちづき)の三人に手を煩わせないためにもね。」
僕はすでに二人に手を煩わせるからなにも言えなかったのだが、氷撫さんは「せやな。」と短い返事をする。
舞姫先輩は左足首のアンクレットに手をかざす。
「まずは彩樹がホストしている集団様を駆逐してやらんとね。」
同じく氷撫さんもアンクレットに手をかざすと、僕の隣に狐と竜の二匹が現れる。
僕たちはこれらを「妖狐」と「妖竜」というように呼ぶ。
人であれど怪異、半怪だと二人は自分たちで言っているけれど、僕が聞いた二人の情報によると、実際に怪異と人間のハーフのようだ。
『まあいろいろあったんやけど、詳しいことは堪忍な。ウチらにもわからんこともあるさかい。』
だなんて氷撫さんは僕に話してくれたこともあった。
『さて、早々に終わらせましょう。』
妖狐の舞姫先輩がそういうと、二人は左右に散らばり、怪異に攻撃を始める。
「こいつら何か吐き出して地面がべたべたするので、二人とも気を付けてください! 」
『わかった、姉さんはいいけれど私と彩樹君は厄介だもんね。』
飛べる氷撫さんとは違って僕らは少なからず地面に接する必要がある。
特に身体的な害はなくともやっぱりべたべたとした不快な感覚は精神的にもきついものがある。
「はい、きっともうすぐ残りのメンバーも来る頃ですし、頑張りましょう。」
やっぱり数で勝負に来るものには数で勝負するのがいい。効率が全然違うし、怪異狩りに関してはこの姉妹の方が経験の数も多いから、怪異ひとつに対する時間も僕とは大違いだ。
『なんだ、あんまり大したことなさそうやな。それにしても数だけは多いんよ。寄ってたかっても弱いっちゅうことは変わらんよ? 』
「ほんとになんなんですか? 聞いてませんよ、集合場所に一番怪異がたまってるだなんてっ! 」
「ほんとほんとー、道路べたべたじゃない! 」
「嗣柚、結友那! よかった、今すっごく取り込み中でさ。」
「彩樹、見ればわかる。待たせたな。」
「結城先輩! 」
鋸のように鋭利な剣を手に持つ神崎嗣柚と透明な壁を作る後衛担当の望月結友那、そして鉈で怪異を薙ぐ望月結城先輩。月駒高校生徒会怪異術師組はこれで全員揃った。
『よっしゃ、そしたらウチは指示を出して早めにここを
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