第一部 異変
02
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その知らせは突然にやってきた。
制服のポケットの中で震えだす携帯電話を手に取ると、そこには親友の名前が表示されている。
携帯電話の緑色のボタンを押して耳に当てる。
「もしもし。」
「もしもし彩樹、朝早くに悪いな。」
僕、水尾彩樹(みずのおさいき)に電話をかけてきた相手、神崎嗣柚(かんさきしゆう)はいつもより少し焦った様子で早口に話す。
「今お前どこにいる? まあそれはいいんだけど、緊急事態だ。この町全体に怪異が大量発生してる、それも聖域であるはずのところにまで。正直何が起こっているかみんなわからないみたい。ここで生まれ育った俺でさえわかってないんだから電話口で聞いてる彩樹だってわかんないだろうけどさ。とりあえず事を収拾させてほしいって。お前の手も借りたいくらいのことなんだ。」
―と、一方的にマシンガントークをされるわけで。
怪異の大量発生。
生物と認識されない、いわば怪物のような存在、物体を僕らは【怪異】と呼ぶ。
そんな得体の知れないものの大量発生。
放っておけば被害も出る。
「嗣柚の頼みだし、僕も応戦するよ。」
「ありがと彩樹。今怪異術師たちは一斉に討伐任務を遂行してる。とりあえず俺たちは怪異を倒しながら月駒高校に向かおうってことになってる。」
電話越しの嗣柚はいつもの印象とかけ離れており、少しくすぐったいような感じがする。
こういうときは真面目に。
それが嗣柚のいいところでもあるが。
「了解。とりあえず先に行動した方がよさそうだ。話はまたあとで、学校についてからにしよう。」
「そうだな、じゃあお互いに気を付けるってことで。さて、さっそく俺のほうでは怪異様のお出ましみたいだ。じゃあまたあとでな。」
「うん、じゃあまたあとで。」
嗣柚が電話を切ったところで、側面のボタンを押す。
とはいえ、全くなにが起こっているのかわからない。
怪異の出現は日常茶飯事のことだけれども、それらの大量発生。
普段発生しても数体ほどで、これらを討伐する【怪異術師】と呼ばれるものたちの手にかかれば数分で駆逐されるはずだ。
要は怪異術師が数分で駆逐できないほどの数が発生しているってことなのだろう。
集合場所の月駒高校までは目と鼻の先ではあるが、僕の目の前には人が一人もいない。
確かに登校するにはだいぶ早い時間ではあるけれど、ゴミ出しをする近所のおばさんや犬の散歩で出歩く人が一人くらいいたっていいだろう。
まるで僕一人がこの世界に取り残されたようだ。
そんなわけはないのだが、明らかに何かがおかしい。
気にしなければ気にならなかったことなのだが。
―それでも。
「やっぱり何かがおかしい。」
というのも、やはり嗣柚の言う通り「例にない異変」のせいがあるのかもしれないけれど。
気にしなければ気にならな
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