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白夜
第一部 異変
01

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木々は赤や黄色の衣を纏って、彼が歩く通学路に綺麗な絨毯を作る。
同じ通学路を歩く生徒もいないこの時間、すこし立ち止まって空を見上げる。
秋色をふわりと舞わせる風は少し冷たい。
乱れた髪を手で元に戻しながら目を細める。
燃えるようなオレンジ色に染まる空、溶けるように薄く広がる雲。
こんな言葉で収まらないこの風景。
見事な朝焼けだ。
綺麗ではあるけれど、それでもなんだか少し寂しいような気がして。

もう一度、風が横を通り抜ける。
いくつもの寂しい夜を越えてきて、朝は希望に満ちた幸福なものだと思っていた。
暗闇を越えて照らす光は暖かいものだと思っていた。
でも、こうみると世界は寂しさに満ちている。
世は無常、はかなきもの。
常に移りゆくものであり、永遠なんてない。
少なくとも僕はそう思う。
あくまでも僕の経験談だ。
十七の少年に何がわかるのか、と。
別に僕は悲劇の少年でも何でもない。
自分が不幸だとか、みじめだとかそんなことは思ったことない。

ただ、僕はこの世界に確実だとか永遠だとかそういう偏った信頼関係を信じたことはない。

オレンジ色の空の下、少年は嘲笑う。

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