第2章:異分子の排除
第22話「仲直りと決別」
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「....っと、悪い。財布を持ってきてなかった。ちょっと取りに行ってくる。」
「あ、なら待ってますよ。」
「じゃ、ちょっと行ってくるわ。」
そう言って俺は寮の部屋に財布を取りに行った。
=ユーリside=
「...妹や弟が大事じゃない姉なんて、早々いない...ですか。」
桜さんが財布を取りに行って姿が見えなくなった後、私はそう呟きます。
「私の場合は例外、なんでしょうね...。」
母様以外からは碌な扱いを受けてこなかった私。
...秋十さんや簪さんのように、頼れる姉はいなく、いるのは私を蔑む姉だけ。
「母様....。」
今は亡き母様の事を思い浮かべ、つい涙腺が緩んでしまいます。
...ちゃんとしませんと...。
「あら、会いたくもない相手と会ってしまったわ。」
「っ....!」
声のした方を振り向くと、そこにはユリア姉様が立っていました。
「出来損ない風情が、まぐれで代表になれたからって調子に乗るんじゃないわよ。」
「.......。」
...冷静に。冷静にです...。
私はもう、実家に縛られる必要はないんですから...。
「...まぐれ。...貴女にはそう見えたのですね。」
「ええそうよ?確かに動きには驚かされたけど、あんなの貴女が実際にできる訳ないじゃない。だからまぐれだって言っているの。」
「そう思っている時点で、既に私より下。と言う事になりますね。」
桜さんは言っていた。私は、私が卑下するよりも優れていると。
だから、少しばかりでいい。自信を持って...!
「は?」
「確かに、あの試合はいつもより上手く行きました。...ですが、それは普段と比べても微々たるもの。そうですね...私をよく知っている人達曰く、代表候補生並には強いそうですよ?」
「っ...嘘よ!貴女如きがそんな訳...!」
身長差で見上げる形ですが、貫くように鋭く、正面から姉様を見ます。
「っ....!」
「決して相手を侮らない。...それが出来ていない時点で、貴女は代表候補生足り得ません。」
姉様はドイツ代表候補生。...ですけど、ラウラさんの方が候補としては優秀ですね。
前まではラウラさんも相手を侮ってましたけど、今はもう大丈夫ですし。
「なんですって!?」
「っ!?」
そう。こうやって口答えすると姉様はすぐに掴みかかってくる。
いつもなら、私は動揺して動けないはずですが...。
「なっ...!?」
「...あれ?」
体を逸らすように避け、掴みかかってき
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