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幻のIS小説のプロットが長すぎたが完結した。
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人は、耐えきれずに泣いて梓沙に縋りついた。そして自分がどんどん自分でなくなっていくという(束と千冬しかこの辺りの話は知らない)ことが心底恐ろしいのだという本音を喚き散らすように吐露した。「俺が、俺の中からいなくなっていく……!!怖いんだ!!このまま何もかも忘れて、俺が風原真人でさえなくなっていくのが嫌なんだ!!いなくなりたくない………誰か、助けて……ッ!!」。
 梓沙にとって、真人は強い人だった。最初は一方的に嫌っていたけど、今では兄だと呼んでもいいと思える存在だと感じていた。そんな真人が吐きだした誰よりも情けない本音を聞いた梓沙は、真人が本当は誰よりも脆くて傷付きやすい人間であることを悟る。「私、守られるんじゃなくて守らなきゃいけなかったんだ……」。梓沙は真人をきつく抱きしめる。梓沙はずっと縋るものを欲していた。母親に母親であることを縋り、真人が「悪」であることに勝手に縋り、そうでないと分かった時は真人が「兄」だと思って心のどこかで縋っていた。でも、真人だって誰かに縋りたかったんだ。

 一緒に生きて行こう。一緒にどうにかできる答えを探そう。縋るのではなくて助け合って生きよう。梓沙は自然とそう考えるようになり、兄の誰にもぶつけられなかった弱い部分を受け止めた。

 翌日、真人は梓沙と共に千冬の元に行き、自分の様子がおかしかった理由を素直に告げた。すると千冬はそれを防ぐ最も簡単な方法を提案した。「真人の内面の書き換えは、ISを展開し、辛い思いをするからISがそれに対策を立てようとすることで起きる。お前の内面と行動の自己矛盾がそれを引き起こしているんだ。ならば方法は簡単……お前が本当の意味で自分に素直に生き、そしてISに出来るだけ乗らず、テロリストの動乱にも巻き込まれないようにすればいい」。近々真人を襲撃してきたテロリストの拠点を殲滅する作戦も展開されることを告げた千冬は、真人に「もう少しの辛抱だ」と告げて抱きしめた。

 テロリストさえどうにかすれば、後は真人が一人の人間として感じる受難だけ。それに真人が素直に向き合っていれば、真人は真人のままでいられる。彼がまた真耶の時のように感情を自分だけにぶつけるような真似をしたら話は別だが、それはきっと梓沙が防いでくれる。
 この日から梓沙と真人は隣り合って歩くようになっていった。



 第11章

 その日――テロリスト「亡国機業」への総攻撃がIS委員会で決定された頃。
 それまでのように日常を送っていた真人は暇を弄ぶように「釣らない釣り」をしていた。本来ならばイベントの予定だった日付が度重なる事件のせいで中止になって休日となり、数日間の連休に変わっていた。のほほん含む生徒会組は機業との決戦準備に動き回っているようで誰もおらず、一夏と箒は政府の依頼で雑誌取材の為に出張中。シャルはリヴ
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