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幻のIS小説のプロットが長すぎたが完結した。
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でなくなっていく。全てが順調な環境の中で、真人は次第に精神的に追い詰められていく。
 このままでは、ミソラスを送り出したあの時の涙さえ、消えてなくなってしまう。自分の所為で真耶が足に一生残る火傷を負ってしまったことも、達姫のトラウマも、全て……何に対しても恐れを知らずに突き進んできた真人は、最も確固たる意識だった「自分」が「自分」でなくなっていく事実に、とうとう恐怖した。そして、その恐怖を必死に隠そうとする。この恐怖心さえもいつか消えてしまうかもしれないと思うと、震えて眠れない日さえあった。

 そんな彼が何かを隠していると最初に気付いたのは、皮肉にもセシリアやシャルではなく彼を客観的に見つめている鈴だった。彼女は真人が嘘っぱちの感情を時々浮かべている事に気付き、それとなく彼に詰問する。当然真人は誤魔化すが、その時の彼の誤魔化し方は鈴から見て「下手」だった。
 こっそりそれを千冬に報告した鈴。千冬はその原因が束に言われていたあの事ではないかと直感した。最初は真人が傷付かないのならば結構な事だと思っていたが、千冬は真人の恐怖を知らない。だから、千冬は真人を自分の部屋に呼び出した。……盛大に散らかった自分の部屋に。
 千冬からしたら弟以外には決して見られたくはない光景だが、真人と向き合うには教師としての仮面を脱ぎ捨てなければならない。だから敢えて晒して……当然の如く猛烈な恥をかいた。余りの汚さに真人もこの空間で過ごすのが嫌だったのか勝手に片付け始め、話が始まる前に千冬は羞恥で逃げ出したくなるのであった。
 しかし改めて話を始めると、やはり真人のガードが固くて解けない。ここで焦ってはいけないと思った千冬は話を将来の事や世間話に切り替える。自分に無関係でもなかったため、真人との会話はきっちり続いた。

 その日の夜、真人は夢を見る。恩を感じていた筈の義理の両親が、いつかテロに巻き込まれて泣いていた子供を息子と呼んで可愛がっている夢だ。夢の中の真人は独りぼっちになっていた。夢の中の中学時代の親友は、「先に忘れたのはお前だ」と冷酷な言葉を告げ、自分の元を去っていく。
 去っていく友人の名前が何だったか、真人はその時思い出せなかった。

 目が覚めた時は深夜。気が付けば梓沙が心配そうに顔を覗き込んでいた。相当魘されていたらしい。のほほんと同室だったころはよく魘されていたが、シャルと和解した頃には魘される事は殆ど無くなっていた。だから、「時々そう言う事はある」と言って梓沙を納得させようとした。しかし、真人の指の爪は深く掌に食い込んで出血し、唇を自分で噛み切っていたのか、その時の真人のベッドは血で汚れていたため、梓沙は納得しなかった。

 自傷行為。それは、真人が出来る最後の抵抗。もしこれさえできなくなった時、自分はいなくなる。そんな恐怖に駆られた真
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