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幻のIS小説のプロットが長すぎたが完結した。
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 第十章

 真人の首に付けられていたチョーカー……実はそれは、ISだった。ミソラスが消える直前に全てを託したあのミソラスそっくりの少女がそれだった。真人はそれを学園の身体調査によって知った。ISの出どころはIS委員会。偶然にも「ISの形態になれない欠陥コア」があったのを真人のチョーカーに転用したものだった。確実に作動し、決して外れないチョーカーという条件をそれは満たしていたのだ。
 同時に「限界を超えた機動」の正体が「ISコアの二重起動」であったことが束によって明かされる。死の直前にミソラスはそれに気づき、チョーカーに自分の「人格」以外の全データを転送したため、今のチョーカーは実質的にミソラスを共食いした強化個体となっていた。この際にコア部分もチョーカーが6割ほど吸収し、真人はあの驚異的な戦闘能力を得ていた。

 そして、真人は不快な笑みを浮かべる束に衝撃の事実を聞かされる。

 本来ISに適応しない筈の真人がISに適応しているのは、ISが真人のボロボロの心を「保護」しようと考えたため。だからISは真人の心や体を「傷付かないように少しずつ作り変えている」という。真人はそんな訳はないと主張したが、千冬はその主張に心当たりがあった。真人は人間の死体を見るなどの衝撃的な光景を目撃して肉がトラウマになったりもしたが、既に彼はそれを克服し始めている。この事を知った時、千冬は「克服が早すぎる」と感じていた。真人自身、ミソラスを展開し始めた頃から周囲にどんどん甘くなっていく自分の事を思い出すと、完全に否定することが出来ない。
 変わっている証拠だと束は真人の腕をナイフで切りつけるが、ナイフが体を抉ったのに痛みをあまり感じない。それ所か傷が塞がっていく。傷付きにくいように、痛みが少しでも減るように。

 この日を境に真人は少しずつ自分の異常に苛まれる。

 前ならば不快とさえ思っていたことが、それほど不快に感じない。自分の関わってきた衝撃的な事件や思い出の事を咄嗟に思い出せない。すれ違いざまに針金をひっかけられるなどの嫌がらせ(割と前半からあった)も、痛みをそれほど感じなくなっていた。
 周囲は賑わしい。この学園の友達と呼べる連中とは距離が縮まり、反真人派だった癒子や腹違いの妹との接点や会話も増えていく。また、学園祭の事件で真人に庇われた上級生が掌返しで真人を褒め称えはじめたため、上級生との対立構造も風向きが変わり始めていた。客観的に見れば、人間関係は今までになかったほど円滑だった。

 だからこそ、真人は焦る。
 学園に来た頃に感じた、中学時代の友達からどんどん遠ざかっていくような感覚。政府と学園に完全管理されている状況への反撥心。怒り、苛立ち、極めて冷めた感情。「自分らしさ」。それが、パズルが崩れるようになくなっていく。自分が自分
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