3部分:第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三章
「そうして頂ければ何よりです」
「あの、それはちょっと」
車掌にだ。佳美はだ。
困った顔になってだ。こう言うのだった。
「私八条駅まで行かないといけないんですけれど」
「八条ですか」
「それも七時に」
今の駅から八条駅まで電車だと十分だ。今五時半だ。
時間はたっぷりある。だが電車が停まってはだった。
「ですから困るんです」
「ですがあんなのが出ましたから」
そのブリーフ男のことに他ならない。
「まことに申し訳ないですが」
「電車動かせないんですね」
「七時まではとても」
動かせないというのだ。
「見られましたよね。跳ねられましたし」
その死体の処理もあってだった。
「ですから」
「わかりました。それじゃあ」
「宜しければここで降りられれば」
車掌は佳美に申し訳なさそうに話す。
「そして八条駅までですよね」
「はい、そうです」
「走れば一時間位です。それに」
「それに?」
「近道もあります」
車掌はだ。佳美を気遣ってこのことを教えてくれた。
「港の方を行けばすぐですよ」
「港の方ですね」
「はい、一時間もかかりません」
そこを行けばだというのだ。
「ですからそこを使われては。ただ」
「わかりました。それじゃあ」
「あっ、今港には万景峰号が停泊してますから注意して下さい」
車掌の最後の言葉は聞かずにだ。佳美は車掌に一礼してからすぐに電車を出て駅も出てだ。港の方に駆けていく。時間はあるが焦ってからだ。
それで夜の港。普通なら景色も楽しめる場所を駆けていく。左手に夜の海や船が見える。しかしだ。
佳美はここでだ。一隻の、やけに高い船の横に来た。するとだ。
「いたぞ、日本人だ!」
「さらえ!」
「拉致だ!」
「偉大なる将軍様のところに連れて行け!」
こうだ。とある国の言葉で叫びながらだ。
カーキ色の帽子や肩章が異様にでかくしかも夜でもその素材が悪いことがわかる軍服を着た目が細くエラの張った痩せた一団が来てだった。
明らかに佳美に向かって来てだ。こう言っていたのだ。
「これで将軍様のハーレムがまた充実するぞ!」
「そしてわし等に食料を!」
「食いものを!」
「偉大なる共和国に栄光あれ!」
日本語ではないが何故か佳美にもわかった。それでだ。
彼女は身の危険を察してだ。即座にだ。
母から貰ったカラーボールを投げてだ。それで怯ませて。
一気に駆けた。陸上部の長距離ランナーで足には自信があるのだ。
それで駆けて逃げる。それに対して。
とある自称共和国の軍人達は栄養失調のせいか動きが遅かった。それでだ。
「くそっ、チョッパリの奴等動きが速い!」
「三日食ってないから力が出ないぞ!」
「馬鹿者!ここは偉大なる敢
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ