第1章始節 奇縁のプレリュード 2023/11
6話 浅瀬の槍妃
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然としないが、しかし、拒否する理由はない。或いは、申請された相手がグリセルダさんだからだろうか。一時とはいえ、共に肩を並べて戦った経験は極めて大きいものだ。すげなくあしらうには惜しい。
一拍おいて、緑のアイコンを押下。これで互いのフレンド欄に双方の名が記されたわけだ。
「ふふ、ありがとう。もしかしたら断られちゃうって思ってたの」
「失敬な、俺はそこまで冷血じゃないぞ」
「知ってるわよ。ちゃんと約束を守れる良い子だものね」
「なッ!? ヘンなこと言うな!」
妙な評価を受け、耳が熱くなるような感覚に襲われつつも反論するが、グリセルダさんは意に介する様子は全くない。
「………でも、さっきの戦闘でスレイド君、その………女の人の胸を鷲掴みにしてたわよね」
「………………は?」
「してたじゃない!? 思いっきり掌で触ってたじゃないの!?」
はて、何を仰いますことやら。そう流そうかと思った矢先、戦闘中の一瞬の交錯が脳裏に過る。
互いに剣と槍を交錯させ、攻撃を遣り過ごした末に繰り出した《裂衝》………
あれはどこへ撃ち据えられたのだろうか。確か、右の肺だったか。苦しそうに咳込んだ女王の姿を思い出すが………いや、肺は本来、どの位置にあるものだろうか?
記憶の中の女王の姿と渾身の掌底を繰り出した右手とを意識が往復し、一つの結論に達した時、俺はグリセルダさんから小一時間ほどの説教を貰っていた。
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