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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章始節 奇縁のプレリュード  2023/11
6話 浅瀬の槍妃
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すと、グリセルダさんは数回のお手玉の末に両手で鞘を確保するのを見届け、話を続ける。


「それと、旦那さんのステータス配分は分かるか? もしかしたら、使える装備を調達出来るクエストとか教えられると思う」
「でも、そういうのって情報料が発生するような話なんじゃ………」
「ホントに物の貸し借りが苦手なんだな。安心してくれ、俺はこういうので稼ごうとは思わないからさ」


 専売特許というべきか、俺は基本的にアルゴに情報を卸すだけの仕事をしている。
 そこから経由して、有用な情報は最前線で戦う攻略ギルドに届けられる。つまるところ、そこから中層プレイヤーに情報が行き渡っていないのが前線プレイヤーに対する情報独占という不平不満を構成する一因なのかもしれない。これだけで解消できるとは思わないし、解消する為に教えるわけでもない。言うなればこれは、ただのお節介だ。

 そして、観念したように旦那さん――――《グリムロック》さんのステータス構成を聞き取る。
 STR型、盾持ち片手剣、軽金属装備。ステータス上の一点さえ除けば、グリセルダさんとほぼ同一と言っても差し支えの無いようなビルドは、そもそもグリセルダさんがグリムロックさんを真似たことが発端のようだ。今までプレイしたゲームでも、グリムロックさんのビルド傾向は一貫していたということで、後方に控える回復職のグリセルダさんに攻撃が向いた際に、そのSTRと技量を以て瞬時に敵を薙ぎ払ってくれたとのことだそうだ。惚気を聞かされる身にもなってほしいものである。
 ともあれ、これだけ情報を貰えれば、相応のレクチャーは可能というもの。周回すれば、同種の防具を装備するグリセルダさんの分まで整えられて一石二鳥。更に少人数ギルドということなので、全員で挑めばレベリングも同時に行えるわけだ。戦線から離脱して久しいというグリムロックさんには厳しい要求をするようだが、是非とも乗り越えて欲しいところだ。精査した情報を口頭で伝えつつ、全く柄にもないことを考えさせられると内心でごちる。


「あとは上手くやってくれ。他のメンバーの強化は………出回っている攻略本を見ながらギルドで悩むんだな。その方がいい」
「ありがとう。でも、絶対にお返しはさせてもらうんだから」
「………そうだな、ただ、無理はしないでくれよ」
「わかってるわよ。無理せずコツコツやってくわ………それと、コレ」


 話も終わったと思いきや、後付けで足された一言と共に、眼前に一枚のウインドウが出現する。

【Griselda からフレンド申請を申し込まれました。承認しますか?】

 その下に(承認)(拒否)のタップアイコンが表示され、返答を無言で待ち続ける。
 その向こうでは、グリセルダさんが笑みを浮かべたまま佇んでいる。表情の真意は判
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