第1章始節 奇縁のプレリュード 2023/11
6話 浅瀬の槍妃
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が終結したことを実感させられる。
「お疲れ様。それと、LAおめでとう」
「………へ、ぁ………そっか、終わった………のよね………お、おつかれしゃま………」
しかし、どういうわけかグリセルダさんはへたりこんだまま、どこか上の空になってしまっている。
盾を足場に用いる機転や、LAを攫う際のセリフのカッコ良さはどこへやら、すっかり腑抜けてしまっている。
「どうした、麻痺毒でも貰ったか?」
「そ、そうじゃなくて………あんな、強い敵と戦うなんて初めてだったから………」
「………まあ、そうなるだろうな」
なるほど、緊張が切れたならば仕方ない。
剣を収めてドロップ品を確認すべく、ウインドウを数度スクロールする。恐らくはカラティンの液体と思しき素材系のアイテムがずらりと並ぶ中、ある一つの行に焦点を合わせる。
「どうしたの?」
「………武器、ドロップしたみたいだ」
グリセルダさんの問い掛けに応じるようにオブジェクト化させるのは、先程まで猛威を振るった女王の大槍の穂先部分にあたる刃。柄尻はひび割れた断面のようで、あたかも戦いに堪えかねて破損したかのような恰好だが、カテゴリーは立派な片手剣だ。しかし、その性質は異質の一言に尽きた。
脇から首を伸ばして性能を確認したグリセルダさんも、眉間に皺を寄せて疑問符を幾つも浮かべている。
「攻撃力、低過ぎよ………それに、《50%の確率でレベル5ダメージ毒を付与》ってそこまで強いものかしら?」
「考え様によっては強いかもな。たぶん、毒付与系の片手剣の中では現状最強クラスの追加効果だ。ただ、攻撃力がこれだと話にならないな」
問題の武器、銘を《クラン・カラティン》とする片手剣は、保有する毒付与性能こそ破格の性能なのだが、グリセルダさんの言う通り攻撃力ははじまりの街の店売り剣と同等程度。片手剣の攻撃力で削りつつ、毒で補助的にダメージを稼ぐという毒付与剣の基本運用が成立しない迷剣なのである。いや、火力を度外視すれば十分に有用性はあるのだが、現状において価値を見出されることはないだろう。
「………悪くない、貰っておこう。で、LAボーナスは何だったんだ?」
「ベール、なのかしら。被って装備するみたいだけど、隠れ率と毒耐性にすごいボーナスがあるわね」
「そっちのがアタリっぽいけど、このクエストは周回出来るからな。情報が広まる前に集めとくのも良いんじゃないか?」
「いいえ、これだけで十分よ。それよりも、クエストの方の名剣はどこなのかしら?」
「ああ、それは多分あそこだ」
毒剣をストレージに納め、伽藍堂になった堀を飛び越える。中央に安置された石櫃に手をかけて蓋を押すと、石臼を
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