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チウルカ
第五章

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「そうするだろ」
「だからこの格好なのよ」
「チウルカ被ってか」
「そうしてるのよ」
「そうだよな、じゃあな」
「一緒に式に出ましょう」
「そうしような」
 ミコワイは微笑んでカシアに言った、カシアはその足で新婦である姉のところに向かった、そしてミコワイは先に教会の方に向かった。
 式はつつがなく行われてだ、ミコワイの両親もカシアの両親も涙を流していた。そうして。
 新郎新婦、二人のそれぞれの兄姉達が出て来や。その二人を見てだった。
 ミコワイは自分の隣にいるカシアにだ、こう言った。
「俺達これでな」
「姉弟になったわね」
「そうだな」
 こう言うのだった。
「これでな」
「そうね、ミコワイが私の弟になって」
「カシアが俺のもう一人の姉さんか」
「そうなるのね」
「複雑な気持ちだな」
「私もよ」
 カシアも言う。
「学校とかで何て呼べばいいのかしら」
「これまで通りでいくか?」
 ミコワイはカシアに顔を向けてこう提案した。
「そうするか?」
「お互いに名前で呼び合うの」
「ああ、何か他人行儀もな」
「そうね、それに姉弟になっても住むのは別々だし」
「それじゃあな」
「別にこれまで通りで呼び合ってもね」
「いいよな」
 カシアに確認を取った。
「それで」
「そうね、それじゃあね」
「ああ、そうしような」
「それが一番ね」
 カシアもミコワイの提案に頷いた、そしてこれからの二人のことも決めた。
 その決めた時にだ、不意に。
 カシアの姉がブーケを投げて来た、それがだった。
 カシアの手の中に入った、丁度開いていたその手の中にすっぽりと落ちた感じだった。
 それでだ、カシアはそのブーケを見て目を丸くさせて言った。
「ブーケを受け取ったってことは」
「次は御前か」
 ミコワイも言う。
「結婚するのは」
「まさか、まだ中学生なのに」
「それでも数年経ったらだろ」
「結婚出来る歳になるっていうのね」
「ああ、だったらな」
「その前に村の誰かが結婚するでしょ」
 そうした年齢の人とそうした話もあるからだ、カシアは言った。
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