第46話 怪人・福沢諭吉
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者がこの日の本に潜伏しているとでもおっしゃりたいのですか?」
確かに馬鹿馬鹿しい話だ。だが、土方が体験してきた一連の事件を考えれば納得もいく。
「さてね。まぁ、本当かどうかは疑わしい話でもあるがね」
福沢はため息をついた。
「ありがとうございます、福沢先生。大変参考になりました」
土方は福沢に深々と頭を下げた。
「頭を上げたまえ、土方君。こんな怪しくも馬鹿馬鹿しい話が本当に参考になったかはわからんがね。あっ、そうだ。今度はその化け物とやらを私の元に連れて来てはくれまいか。
そうすれば、私も少しは信じてもみたくなるからな」
福沢はまた大笑いした。
「そういたしましょう」
土方もまた笑った。
(悪魔崇拝者か)
土方は福沢の塾を後にして福沢の話を思い返していた。
そんな時、隊士が血相をかいて塾の方へ走って行くのをみた。
「おい、どうしたのだ」
土方は大声で隊士を呼び止めた。
「あっ、土方さん、急ぎ宿へお戻り下さい」
隊士は息を切らしながら、口早に言った。
「だから、どうしたというのだ」
土方の胸に悪い予感が走った。
「近藤局長の部隊が危機に迫っているとの知らせがありました。急ぎ合流されたしのことです」
「なんだと!!」
土方は目を見開き、我を忘れその場で固まってしまった。
「副長!!」
隊士の声で土方は我に返った。
「急ぐぞ」
土方は隊士に声をかけると疾風のごとく走りだした。
「まさか、黒魔術が存在しようとはな」
土方が去った後、福沢は一人応接室に残っていた。
「フフフフフ」
福沢は不気味に笑った。
「新しい研究のテーマになりそうだ」
が、現在、福沢諭吉が記した黒魔術に関した著書は発見されてもいない。
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