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魔界転生(幕末編)
第46話 怪人・福沢諭吉
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物でもない。鳥と動物が戦った時、鳥が優勢の時は、鳥のふりをし、動物が優勢の時は動物のふりをする。まさに、勝もそうだとは思わんかね?」
 福沢は腹立たしく早口でまくし立てた。
「つまり、幕閣にいながら、倒幕を擁護し、倒幕を擁護しながら徳川を生かそうとしているのが、蝙蝠だということですね」
 土方はにやりと笑った。
「その通りだ。なんだ、君は察しがいいじゃないか」
 福沢は大声で笑った。
「ですが、福沢先生、私は冗談を言いに来たのではありません」
 土方は真剣な眼差しで福沢をみつめた。
「わかっているよ、土方君。あの男が私を紹介するくらいなのだからな」
 福沢の目が鋭くなった。
「福沢先生は、異国の言葉だけでなく、蘭学者でもあり、著述家でもあり、あらゆる学問に精通していると聞いております。なので、今まで私が経験した世にも不思議な事に対しても答えを導いてくれるものと思い参上した次第なのです」
「世にも不思議な事?」
 福沢は土方の言葉に冷ややかな目で答えた。
「はい。福沢先生は死んだ人間が化け物なって蘇ることを信じますか?」
土方の言葉に福沢は目を丸くし、大声を上げて笑った。
「馬鹿馬鹿しい、そんな事は有りえない。いいかね、土方君。人は死ねば物と同じだ。そして、埋められ土に帰るだけだよ。生き返って化け物になるなどそんな馬鹿げた話は、幽霊話といっしょだ」
 福沢は笑い終わると呆れたように首を左右に振った。
「ですが、現に私はどの者達と対峙してきたのです」
 土方はそんな福沢を睨んだ。
「君は夢でも見たんじゃないのか?」
福沢は呆れたように言った。
「どうやらこの二の足を踏んだようです。失礼しました」
 土方は福沢の態度にため息をつき立ち上がろうとした。
「待ちたまえ、土方君。君の話が百歩譲って本当の事だというのなら参考になるかならないかはわからないが、興味深い話をしてよう」
 土方はその話を聞いてみたなって再度福沢に対峙した。
「はっきり言って私はそういう話は信じない人間でね。ましてや、宗教なども信じてはいない。が、異国に留学した時にキリスト教を少し学んだことがある。君も知っている通り、ざっくり簡単に話を要約すれば、キリスト教は、老若男女問わず全てが平等であり、イエスを拝み奉れば天国に行けるという代物だ」
 福沢は腕を組みゆっくりとした口調で話始めた。
「でもね、それと相反して、悪魔を崇拝する宗派もあるのだよ」
「なんですって!!」
 土方は驚き目を見開いた。
「それは、悪魔と契約し、人を呪い殺したり、死んだ人間も生き返させたりするって話なんだがね。ほら、この国にもあるだろう?陰陽道やらなにやらわからないが、そういう類のものらしい」
 福沢は自分の話にあきれたように再び首を振った。
「では、その悪魔崇拝
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