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第一章
パニッククリスマス
栗脇佳美はだ。今彼氏の遠山悟志と話してだ。その日のことを決めていた。
「じゃあクリスマスはね」
「ええ、駅前のツリーの下で」
「そこで待ち合わせしよう」
悟志はにこりと笑って佳美に話す。悟志は黒髪を櫛で奇麗にとかした爽やかな少年だった。顔立ちも爽やかで清々しい。背は高くすらりとしている。
黒い詰襟の学生服がよく似合う。その彼がだ。
鮮やかな緑のブレザーと短いスカート、それに紐のタイの制服姿の佳美に話していた。佳美は小柄で薄茶色の髪をショートにしていてだ。目は大きくはっきりとしている。顔は童顔だ。
その悟志がだ。佳美に言うのである。
「それで時間は」
「何時がいいかしら」
「七時でどうかな」
悟志は時間も提案した。
「夜のね。それでね」
「後は遠山君の家に行って」
「そう、お父さんとお母さんがいるけれど」
それでもいいというのだ。二人の仲はお互いの両親公認なのだ。
そんな恵まれた二人がだ。笑顔で話をしていた。
「それでもいいよね」
「ええ、それじゃあね」
「クリスマス。楽しくね」
二人で笑顔で話してだ。クリスマスの予定を決めたのだ。かくしてだ。
そのクリスマスだ。五時にだ。
佳美は自分の家の鏡でこれ以上はない位に奇麗に化粧をしていた。既にシャワーは浴び身体を奇麗にして髪も整えている。そのうえでだ。
メイクをしてだ。そしてだった。
服もだ。白いコートに黒のタイツ、それと紅いひらひらとしたミニスカート、手袋はミトンだ。
それで精一杯奇麗にしてだ。家に出ようとする。
その彼女にだ。玄関で母が声をかけてきた。
見れば佳美そっくりだ。小柄で童顔だ。少し皺がある位だ。その母がだった。
「今日はあれ?悟志君のところ?」
「うん、行って来るね」
「最近物騒だから気をつけてね」
こう娘にだ。ありきたりのことを言ってきたのだった。
「何があるかわからないからね」
「そうよね。夜だし」
「どうせならこれ持っていきなさい」
差し出してきたのはスタンガンだった。
「あと催涙スプレーにね。投げ付けたらペイントされるボールもあるから」
「そこまで物騒?この町って」
「年頃の女の子には用心が必要なのよ」
だからだというのだ。
「いいわね。全部持っていきなさい」
「ううん、そこまでって思うけれど」
「そこまでしないと駄目なのよ」
佳美によく似た声でだ。母は言ってくる。
「だからいいわね。持っていきなさい」
「わかったわ。それじゃあ」
「使わなければそれでいいし」
逆にあればだというのだ。
「あればあれで助かるでしょ」
「そうね。それじゃあね」
「はい、じゃあね」
「ええ、
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