一章
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ガキにあぁ言ってから、部屋のなかは素晴らしく静かになった。寝る間も惜しんでなんとか覚えようとする姿がなかなか滑稽。まぁ本気でやってるのは見てとれるから、邪魔とかはしねぇけど
「ほら、食っとけ」
「ふぇ?あ、ありがと!」
今日で3日目。こいつはほとんど寝ずにやってる。なのにまだ読み終えてもないらしい。ここまで覚えることに躍起になることも今までなかったんだろうが、それにしても余裕が無さすぎる。なんとも効率の悪いことか
「飯くらいは食え。寝るときは寝ろ。休息も栄養も足りてねぇ頭に知識が入るか」
「そんなこといわれたって難しいんだよ!こんな分厚くて、なんか言葉も難しくて!受からせる気ないよね!?これ!」
まぁそれは確かだ。年に2.3回行われるが、トップ通過1名のみ資格を得るシステムだからな。軍人なら軍経由で楽にとれるんだが、さすがにそこまではさせられねぇから、やってもらうしかない
「あ。ゼロ、寝てていいよ。気にしないで」
「誰が気にするか。今日はあの女が来るから真っ昼間でも起きてるだけだ」
「そうだったっ……け?」
…………目、死んでるじゃねぇか
もう眠いとも感じてねぇだろうな、コレ
ったく、ほんと効率が悪い
「おい」
「ん?」
首に手刀一閃
なにもいわず崩れるガキ
「やれやれ、世話のやけるガキだな」
俺は顔のしたの本を引き抜き、ぱらりとそれをめくった。……まぁマニュアルだからな。字と図形しか載ってねぇし、参考書みたいな太字も赤字も一切ない。見てて楽しくなるもんじゃねぇな
ガキだし、まぁ、きついか。さすがに……
「…………しょうがねぇな」
散らかった机から一本ペンをとって、時計を見た。
あの女との時間まであと一時間くらい。まぁ十分だろ
煙草に火をつけ、俺は次のページをめくった
一時間後、曇り空のなか俺は外に出た。あの女との待ち合わせはあの女のアジト。はみ出し者のたまり場ともいう。ただでさえ人気のない町のなかで一番、人の少ない場所にそれはあった。あのガキがくればキンキン言いそうな雰囲気の場所。まぁ俺はこっちに慣れすぎてなんとも思わねぇけど
「わざわざ来てやったんだ。はやく渡すものを渡せ」
人のいない突き当たりで俺は言った。目には見えないが、そこらじゅうに張り付いてる。随分と警戒してるようで
ち。腹立つ
昼間から人を呼びだしといてこれか?
「そういう態度なら、楽しい鬼ごっこでもするか?1人残らず捕らえてここに埋めてやるよ」
お、やっと出てきたか
あんな脅しに怖がるくらいなら最初から出てきやがれってんだ
「ゼ、ゼロ……さん
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