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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―1枚を賭ける攻防―
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「……十代?」

 卒業タッグデュエル大会。その決勝戦の相手として俺と明日香の前に立っていたのは、あの遊城十代だった。もはや彼の代名詞と化している真紅の服に身を包みながら、1人だけで俺たちの前に立ちはだかっていた。

「十代も参加してたの?」

「ああ……まあ、成り行きでな」

 俺のよく知る十代らしからぬ口調に驚きながらも、今はとにかく十代に用事があった。あまり聞かれたくない話のため、観客用のマイクを切って十代に近づいていく。

「ありがとう十代。保健室で助けてくれて」

 もう随分と昔のことのように感じてしまうが、異世界から帰還したものの、俺は怪我の影響で保健室で寝たきりだった。何が起きているかも分からない時、ミスターTに襲われかけていたが……そこを十代に助けられたのだ。

「……気にすんなよ」

「……それと、タッグの相手は?」

 やはり十代からの返答はそっけない。異世界での経験がそうさせたのか――と気にしながら、十代に気になっていたことを問う。タッグデュエル大会である以上、タッグが必要不可欠の――最初の相手からして万丈目1人だったが、それはともかく――筈だったが、どこにも十代のタッグパートナーの姿は見当たらない。

「いや、トメさんだったんだけどな……」

 何でもいつものブラマジガールのコスプレをしたトメさんとタッグを組み、ルールの分からないトメさんをスルーして1人で勝ち進んできたらしく。ただ準決勝戦でコスプレ用の服がほつれてしまい、鮫島校長が無理やり会場から連れ出したとか何とか。そんなこんなで、十代はタッグパートナー無しで1人だという。

「よし。明日香、あとは任せた」

「えぇ!?」

 明日香には悪いがそう言い残し、俺はスタジアムから降りてしまう。どちらにせよ、十代1人相手に二人がかりで挑む訳にもいかず――何にせよ、姿を消したレイのことが気がかりだった。……俺にだって、そっとしておいた方がいいというのは分かっているが、とにかく嫌な予感がした。

 うまく説明は出来ない、虫の知らせのような代物だったが――とにかく。けたたましく警鐘を鳴らす感覚に従って、俺はタッグデュエル会場を飛び出していた。


「ちょっと遊矢! ……もう」

 明日香が止める暇もなく、遊矢は走り去ってしまう。恐らくは、レイのことを心配してのことだろうが……明日香が少し嫉妬してしまうのもやむなしだった。十代と観客にざわめきが広がっていくが、それは明日香の兄――吹雪が何やらアドリブでカバーしていた。

「十代。デュエルしましょう?」

 実の兄ながら、そういうことばかり上手い――と明日香は苦笑しながら、デュエルディスクを対面にいる十代に構えた。突然のハプニングだったものの、明日香にとってこれはチャン
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