―1枚を賭ける攻防―
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スでもあった。いつ頃かデュエルする機会を失ってしまっていた、十代との大舞台でのデュエルに。
「ああ……そうするしかないみたいだな」
対する十代はあまり気乗りしないようではあったが、一応は明日香と同様にデュエルディスクを構えた。そもそもこの大会に出たのも、トメさんに誘われたからとのことで、本人はあまり乗り気ではないようだった。
「…………」
昔の十代ならば信じられないようなその態度が、異世界での経験によるものだとするならば。明日香は責任を感じざるを得なかった――そもそも十代たちが異世界に行ったのは、異世界に取り残された自分や遊矢、ヨハンを助けるためだったからだ。そして最初に力尽き、異なる異世界に飛ばされたのは明日香――これは本人のエゴなのかもしれないが、異世界における出来事の一端は自分にある。明日香はそう考えていた。
「ええ。楽しいデュエルをしましょう」
ならば明日香に出来ることは、遊矢と十代に昔の気持ちを思いだしてもらうこと。図らずも遊矢には成功していたが、十代とのデュエルはまさに僥倖だった。明日香はかつて、十代が口癖のように言っていた言葉を紡ぎ、どちらもデュエルの準備を完了する。
ただ、十代がそれに応えることはなく――
『デュエル!』
明日香LP4000
十代LP4000
「私の先攻」
デュエルディスクが指し示した先攻は明日香。五枚のカードを眺めると、まずはモンスターを召喚する。
「私は《エトワール・サイバー》を召喚!」
明日香の多用するサイバー・ガールの一種。普段は融合素材としての使用が主だが、今回は先陣を切る役割として召喚された。
「さらにカードを二枚伏せ、ターンエンド!」
「オレのターン、ドロー!」
低攻撃力モンスターを攻撃表示で召喚し、それを守るようにリバースカードが二枚。罠であることをを隠す気もない、誘っているかのような明日香のフィールドに、十代は迷わず一枚のカードを選択する。
「オレは《E・HERO ワイルドマン》を召喚!」
対するはE・HEROの一員であるワイルドマン。通常モンスターも多いヒーローの中で、ワイルドマンは全カードの中でも特異な効果を持っていた。
「どんな罠があろうが、ワイルドマンは罠の効果を受けない! ワイルドマンで攻撃だ、ワイルド・スラッシュ!」
「っ……!」
明日香LP4000→3700
ワイルドマンが振りかぶった斧剣に対し、明日香は何のカードを発動することなく、《エトワール・サイバー》は斬り裂かれてしまう。最初のターンは明日香が軽いダメージを受け、まずは十代の優勢という結果に終わった。
「カードを一枚伏せ、ターンエンド!」
「……私のターン、ドロー!」
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