3部分:第三章
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第三章
「諦めろ。本当に大学生になってから来い」
「くっ、手強いおっさんだな」
「仕方ない。ここは撤退だ」
「名誉ある撤退だ」
「早く帰れ。あと俺はまだ二十五だ」
男は自分の年齢のことも話す。
「覚えておけ。いいなグズ共」
「嘘だろ。これで二十五ってよ」
「何処まで老けてるんだよ」
「本当によ」
最後に彼等のその年齢についてクレームをつけながらだ。彼等はここは撤退するしかなかった。結局この店に行くのは大学になってからだった。
それから十年後だ。彼等はというと。
それぞれ髪の毛が薄くなったり腹が出たり目尻に皺ができていたりする。その彼等がそれぞれのスーツ姿で居酒屋にいてだ。
そのうえでだ。こう話すのだった。
「どうだ?最近」
「ああ、彼女にな」
「かみさんにな」
「俺もかみさんにな」
こうだ。ビールや焼酎を飲み焼き鳥を食べながら話すのだった。
「そうした服着てもらってるんだよ」
「最近フライトアテンダントいいよな」
「いやいや、ナースもな」
「チャイナだろ」
「男はバニーガールだ」
何故かだ。コスプレが進化している。
「チアガールもいいよな」
「テニスウェアだっていいぜ」
「袴というか巫女さんだってな」
「OLもよくないか?」
こんな話をしながら楽しく飲んでだ。
さらにだ。こんなことも言い合う。
「かみさんにブルマとか競泳水着着てもらうと余計に興奮するよな」
「もう夜なんかバイアグラ不要だぜ」
「そうそう、やっぱりコスプレはな」
それは何かというとだった。
「夢だよ」
「浪漫だよ」
こう言い合うのだった。
「まさに男の浪漫だな」
「そしてそれで遊ぶのがな」
「究極の楽しみだ」
完全にだ。煩悩のみで言い合う。
「コスプレ・・・・・・あれは」
「いいものだ!」
「最高だ!」
挙句には居酒屋でこう叫び合う。
「それじゃあこれからもな」
「御互い楽しんでいこうな」
「男はコスプレだ!」
「コスプレをした相手にこそ最高に燃える!」
大人になり楽しみを知って余計にだった。彼等は青春を満喫していた。男は幾つになっても少年であり楽しんでいた。そしてだった。
彼等は浪漫を追い求めていくのだった。これからも。それが彼等だった。
男の浪漫 完
2011・8・1
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