暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
56 嵐の予感
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盗むこと」
「もう1つあるのか?」
「うん、ディーラーの注意をジョーカープログラムに惹きつけておくことで、それに乗じた隙を狙って商品をデンサンシティで売りさばくことだ。デンサンシティはディーラーの縄張りだからね。でも不思議なことに、ここ数日で特に力を入れて売ってるのは、銃や爆薬より断然、ダークチップやユナイトカードの方みたい」
「待て、今もまだこの街で商売を続けてるのか?」
「うん。学校に籠城した奴らは全員拘束され、警察に紛れていたスパイも捕まったけど、人数的にニホンに入ってきた連中の半数程度。ディーラーでのいわゆるメインチームは作戦通り籠城に乗じた後も懲りずに商売を続けてるみたい」
「…なぜだ?」

流行りもしないのに粘り強くと言えば、聞こえはいいが、言い換えれば、性懲りもなく、引き際を弁えず店を畳まない光景は別に珍しくもない。
しかし闇の世界において引き際とは、かなり重視される問題だ。
普通の人間なら気にもしないことだが、闇の世界を生きてきたシドウにはValkyrieがまだデンサンシティで商売を続けているというのは、理に適わないことだった。

「なぜって?」
「なぜ今になってダークチップやユナイトカードを売る必要がある?プライムタウンの1件で既に奴らの計画は失敗したというのに、未だにカードとチップを売る?それどころか昨日、ディーラーを牽制するカードを手にする計画も失敗したのに、この街に留まり続けている?敵のホームグラウンドで下手をすれば、袋叩きに遭う可能性もあるのに」
「確かに…言われてみればその通りだ。チップやカードを介して、精神に悪影響を与えるのが奴らの目的。その媒体に司令を送る装置が壊されたのに、武器ならともかく、そのためのチップやカードを必死こいて売る必要はない…それにディーラーにリンチに遭うリスクを考えれば…」

Valkyrieもバカではない。
実際にデンサンシティにおける商売敵であるディーラーの弱みであるジョーカープログラムを狙って牽制し商売をする、そもそも海外はおろかニホンですら治安が悪くなっていることを知っている者が少ないデンサンシティをターゲットにしている段階でその一連の行動にはある程度、合理的なものがあった。
それを踏まえれば、この織田の城下町に今川軍が攻め込んで商売をするような無謀で理に適わないような行動にも何か合理的な理由があるということになる。
最悪の仮設が2人の頭に過ぎった。

「まだ計画は終わってない…?」
「その可能性は十分にある…嵐の予感がする」

気づけば次の瞬間、シドウはミツバの隣に座って、集められた資料に向き合い始めた。
Valkyrieの計画はスターダストとの2度目の戦闘、すなわち装置がプライムタウンの倉庫とともに吹き飛んだ段階で確実に一度失敗している。
しかし
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