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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
56 嵐の予感
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そりゃ、ガキどもに武器を売ったからじゃない?ガキのやることなんて、たかが知れてる。でも自分が他の者を圧倒する武器を手にした時の行動は想像を絶する。それはカードゲームのレアカードかもしれないし、最新のゲーム機かもしれない。でもこのガキどもはそんなものとはレベルが違う銃やナイフっていうものを手に入れた。それが引き金だった」
「もしValkyrieが武器を売らなければ、虐められるだけで済むはずだった。命を失う瀬戸際まで追い込まれることはなかったと思ったってわけか?」
「大人のシドウちゃんには分からないかも。子供だからこそ、分かったはず。自分がもし、彼らと同じ虐める側の人間で銃を手に入れたら?もし手に入れなかったら?この少年は容易に想像できたはずだ。あとは感情の赴くまま…何回も死なないように、急所を外しながら、痛めつけ、絶望を与えながらとどめを刺す」
「そして犯行後、子供たちに武器を売りに来たValkyrieと遭遇してしまった…」
「そんなとこだろうね。でもスターダストを手に入れたシンクロナイザーに返り討ちにあった」
「これが事件のあの夜の出来事…」
「あと警察が駆け付けたのは未明だったらしいから、先にこの騒動を嗅ぎ付けたディーラーが現場に現れて工作をしたみたいと思う。その証拠に指紋どころか髪の毛1本残ってなかったらしい。少年たちが毎晩のように屯っていたはずなのに、それらしい痕跡も見受けられないくらい綺麗なもんだったって」
「……何もかもが酷すぎる」

シドウはそう漏らしながら、聞き込み調査の資料を見ていた。
この一連の事件全てに言えることだが、どれもこれも凄惨さに満ち、人間の悪意が溢れている。
もちろん今の2人の会話の中で辿り着いた事件の夜の出来事も、想像力を膨らませていった結果に導き出されたものに過ぎず、真実かどうかは定かで無い。
インターネットが使えずに情報が少ない中では、そうでもしなければ、推理すら成り立たないので止む得ないことではあるが、他の可能性から攻めていっても、そう大差はない結論に至る。
更にはValkyrieの行動やそれを使った市民たちの行動はともかく、この被害に遭った中高生たちの行動も悪意に満ち溢れていた。
彼らが今回、疑いの目を向けられた少年に行っていた言葉にするのも憚れるような“仕打ちの”の数々は目から得られる文章としてシドウの頭の中にズカズカと入り込み、想像され1つの形となった。
無視や陰口など可愛いもので、日常的に行われた集団での暴行、嫌がらせ、受けていた本人の証言ではなく、被害を受けていたわけでもなく傍から見ていた生徒たちや教職員の証言だというのに、克明にその光景が頭に浮かぶ。
むしろ本人以外の見ていただけの人間の証言だけでもここまでの凄惨さを感じるのだから、受けていた本人からしたら、どれだけ残虐なものだ
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