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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
56 嵐の予感
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しにしている。奴は胸に爆弾を抱えてる以上、ディーラーから離れては生きられない。だから裏切ることはないと高を括ってるんだろう」
「…全て繋がった」

ミツバは低い声でそうつぶやいた。

「ちょっとディーラーの動向から外れて、バラバラ殺人の方の話になるけどいい?」
「え?あぁ」
「このデンサン港で起きたバラバラ殺人、殺されたのは知っての通り、中学生・高校生って肩書だけ持った人間のクズ多数。犯行時刻は深夜、被害者(ガイシャ)たちはこの時間帯にそこでいつも群れてたらしい」
「中学生と高校生、Valkyrieの客とも一致するな」
「実際、現場からはValkyrieが売ったと思われる拳銃や刃物が見つかってるし、間違いない。殺された連中の大半は鋭利な刃物による刺殺。凶器のデータベースから照合した結果、該当するものは無し。でもその切り口から日本刀か青龍刀のような類のもので、そこらのホームセンターじゃとても手に入らないものらしい」
「酷いもんだ…」

ディスプレイに表示される死体検案書や現場の写真といった捜査資料から、その凄惨さはマスコミに報道されていたものの比ではないは明らかだった。
心臓が真っ二つになっている死体や足や腕、指、首が切断された者もいれば、すでに人間の形をしていない者までいる。
その状況と今までミツバが手に入れた情報を兼ね合わせると、ひとつの仮説が成り立つのだった。

「あの子…マテリアライズ使えたよね?」
「あぁ…」
「今の世の中でデータベースに無い凶器なんてそう多くはない。でもあの子なら簡単に作れる」
「まさか…」
「捜査資料によると最初に怨恨の線で捜査した結果、浮かび上がったのは、ガキどもに虐められていた少年だったらしい。詳しいデータはまるで掃除されたかのように見つからなかったよ。学校の方にも顔写真すら残ってなかった。ここまで綺麗さっぱりしているということは、経験から言わせてもらえば」
「ディーラーの情報操作」
「そう。でも聞き込みで得られた情報を総合すると、似てるんだよ…あの子に」
「……」
「連中が殺された1週間そこら前、ガキどもはこの少年と彼と親しくしていた少女に集団で襲い掛かり、少女は瀕死の大怪我、少年共々病院に運ばれた。少年の方も普通に考えたら全治3週間はする大怪我で意識不明だったものの、意識を回復して姿を消したらしい」
「恨みを持つには十分ってわけか。今まで自分を虐めてきただけでなく、親しくしていた友達まで傷つけられた。だがもし仮に彼女の復讐だったとしても、なぜ今、Valkyrieと?」

徐々に繋がってきた感触を感じながら、お茶を手に取る。
しかし飲む気にはならない。
この血まみれの現場とグロテスクな遺体の写真を前にしていては、喉がいくら乾いていようと、喉を通る気がしない。


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