三十四話:話をしよう
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望を味わっていく。今度こそ誰も悲しませないと決めても、結局取りこぼした人間が現れる。どうしようもない。
自分で救う範囲を決めなければ全てを救うことなどできはしない。だが、割り切れない。この世にはまだ苦しんでいる人間が居るというのに自分一人がのうのうと生きるなど耐えられるはずがない。もし耐えられるのなら、初めから正義の味方など目指しはしない。
「どうしたらええか。答えなんてない問題が人生にはようけある。だから選ぶんよ、自分が少しでも後悔しない道を。みんなにもいつかその時が来る。その時は覚悟せんとね」
みんなと言っているがこれは実質スバルに宛てたメッセージのようなものだ。選ぶ基準は誰も決めてはくれない。ただ自分自身が全ての責と罪を背負うことを覚悟して選択しなければならない。人間として生きるか、機械のように生きるか、スバルは必ず自分で答えを出さなければならない。はやてはその覚悟を決めろとスバルに告げているのだ。
「……ま、話はこれで終わりや。私が言いたかったことはどちらかを選ばんといけんこうなった時は自分が後悔せん方を選ぼうってことやな」
「あの、質問良いですか」
「なんや、言ってみ」
「……物語に続きがあるのなら、その少女は今どうしていますか?」
スバルからの問いかけにはやては面白そうに笑う。その後の選択をした少女は何を選んだのか。その答えを知りたくて問いかけてきたスバルにどことなく昔の自分を思い出したのだ。一呼吸おいてはやては静かに、しかしはっきりとした声で答える。
「伝えたいことを伝えるために諦めんと父親を探し回っとるよ」
「そうですか……見つかるといいですね」
「そうやね。おっと、もうこんな時間か。今日は付き合わせてごめんなぁ。今度はもっと楽しい話しような」
はやてが最後に後悔などないといった笑顔で宣言したところで話はお開きになる。部屋から出ていくフォワード陣を見送るとはやては椅子に深くもたれかかる。そこに先ほどの話を聞いてはやてを気遣いに来たのか一匹が音もなく現れる。
「んー、いらんお世話やったかな。何だかんだ言ってスバルはある程度立ち直っとったし。あれなら私が何もせんでも一人で選ぶ勇気が持てたかもなぁ」
「…………」
無言で佇む動物に独り言のように語り掛けながらはやては大きく伸びをする。そして机の引き出しからアルバムを取り出し車椅子に乗った自分とそれを押す養父の姿が映った一枚を撫でる。
「おるんやろ、おとん。前はまんまとやられたけど今度はそうはいかんよ。うちの子らにちょっかい出す前に捕まえたる」
はやてはスバルからの話で謎の男の正体に当たりをつけていた。というよりは直感的なもので相手が養父であると確信していた。まさに骨肉の争いになるかもしれないこれからの戦
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