第七章
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「頑張りましょう」
「そうしようか」
「あの服は女の子のものだからね」
「この子には男の民族衣装を着てもらおうか」
「そうしましょう」
それはそれで嬉しかったのは事実なのでこれでよしとした、そして。
二人はそれからも努力した、だが二人目も三人目も四人目も男の子でだ。最初の子供が出来てから七年後にだ。
エディタはようやくだった、実家に帰った時に母に言えた。
「お待たせ」
「やれやれよ」
「いや、まさかね」
「五人目になるまで娘が出来ないなんてね」
「アンナもビストロシカもね」
「結婚したけれど」
それでもだったのだ、二人の妹達もまた。
「男の子ばかりで」
「子供はね」
「それでよ」
しかもとだ、母は言うのだった。
「ルチアも結婚して子供出来たけれど」
「男の子だったわね」
「全く、十人の孫がね」
それこそと言う母だった。
「全員男っていうのもね」
「凄いわね」
「それであんたがやっとよ」
長女を見て言うのだった。
「女の子出来て」
「あの服もね」
「あげられるわ、やっと」
「お待たせ」
「お父さんも喜んでるわ」
「あら、孫は男の子じゃないと嫌って言ってたのに」
「子供は娘ばかりだったしね」
母も言う。
「そう言ってたのよ」
「それがどうして喜んでるの?」
「その四人の娘が全員男の子ばかり産んだからよ」
それも十人、というのだ。
「だからね」
「女の子が欲しくなってたのね」
「そうなのよ」
「それで私がやっとなのね」
「本当にやっとよ、じゃああの服をね」
「くれるのね」
「やっとこの時が来たわ」
しみじみとした言葉だった。
「今からあげるわね」
「うん、それじゃあね」
こうしてだった、エディタは遂にアントンにモラビアの服を着た自分達の娘を見せられることになった。娘はまだ赤子だったのでそれは数年後のことであるがだ、彼女は夫と共にそのことを心から喜ぶのであった。
モラビアの服 完
2016・3・27
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