第五章
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「そのものよ」
「おかしな返事もあるものね」
「そうかもね、ただお母さん」
自分の父と話している夫をちらりと見てからだ、エディタは母の耳元に顔をやって小声で囁いた。
「もう一年位したら吉報があるかも知れないわ」
「吉報かい?」
「ええ、待ちに待ったね」
「おやおや、そうなのかい」
「そうしていてね」
「それじゃあね」
「四人姉妹で私が最初にね」
姉妹の長女だ、次女のアンナとは十歳三女のビストロシカとは十三歳離れていてだ。四女のルチアとは十六歳も離れている。
「そうなるから」
「その吉報待ってるよ」
「そういうことでね」
こう言ってであった。
エディタはまずは末妹を待った、そのうえで夫の動きに注視することにした。
そしてだ、部屋の扉が開いてだった。そのルチアが入って来たが。
膝までの丈のふわりとしたスカートにはピンクの薔薇と草が模様として入っている、靴は赤だ。
スカートの上のエプロンは黒地で端が白くハンカチの様にひらひらとした可愛い感じになっている。薔薇やエーデルワイス、チコリにサフランや向日葵といった花々が黒地の中にそれぞれの色で咲き誇っている。
白いブラウスは肘までの丈で肩の部分が膨らんでいるが端のところをリボンで縛っている、端のところに緑のアラベスクの模様がある。その上に赤地で金色が入り模様になっている丈の短いベストを着ている。
首のところの羽織は白で黒糸で三段に渡って花の模様が刺繍されている、魔除けのそれの様な感じで頭には赤いスカーフが頭全体を覆って巻かれているがそこには黄色や白の花々がある。
腰の帯はリボンで前で蝶々結びにされている、黄色いその中に深紅と青の花々が緑の草と共にある。
ルチアはその格好で入って来た、その彼女を見てだ。
彼女の両親は二番目、三番目の姉達は目を瞬かせてだ、彼女に尋ねた。
「何してるんだと思っていたら」
「その服着たの」
「今日お祭りでもないのに」
「どうしたの、また」
「ちょっと着たくなったの」
ルチアはくすりと笑ってだ、こう家族に返した。
「それでなの」
「着てみたのか」
「そうなの」
父にもこう返す。
「どうかしら」
「ああ、前に着た時よりもな」
それ以上にとだ、父は末娘に答えた。
「着こなしてるな」
「そうなのね」
「まるで人形だな」
「そうね、お人形さんみたいね」
「そうよね」
「可愛いわよ」
母と次姉、三姉も言う。
そしてだ、長女がさっき自分に言ったことの意味を察した母はだ、アントンに聞いた。
「貴方はどう思うかしら」
「いや、妻の出身は聞いてましたけれど」
アントンもそのルチアを見ながら言う。
「いい服ですね」
「この地方ではね」
「モラビアではですね」
「女の子はこの服
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