2部分:第二章
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第二章
そんな彼等だがとりあえず金は小遣いを貯めてそれなりには持っていた。そのうえでだ。
今度は学校の屋上で誰にも聞かれない様にしてだ。こんな話をしていた。
「イメクラ行くか?」
「イメクラか?」
「あそこでか」
「ああ、あそこならスクール水着も競泳水着もブルマもある」
だから行くというのだ。
「そこで見るだけじゃなくてな」
「楽しむんだな」
「そういう為の店だからだよな」
「だから行ってそうして」
「楽しむってんだな」
「ああ、そうしようぜ」
こんな話をしだしていた。
「上手にいったら童貞ともおさらばだ」
「だよな。運がよかったら本番させてくれるってな」
「そうした店もあるらしいな」
「見て楽しめて童貞も捨てられる」
「イメクラは最高だ!」
生徒指導の先生に聞かれたら確実に生徒指導室行きの話を絶叫と共に続けていく。
「なら行くか」
「ああ、それでな」
一人がだ。ここでだった。
風俗雑誌を取り出してきてだ。同志達に見せてだ。話をするのだった。
「この店なんてどうだ?」
「あっ、安いな」
「しかもコスチューム揃ってるしな」
「おまけに奇麗な人多いな」
「目は隠してるけれどな」
写真に出ている風俗嬢達は自分の手で目は隠している。そうして誰なのかわからないようにするのがこうした商売の宣伝の基本である。
そうした写真も見ながらだ。彼等は決めたのだった。
「この店だな」
「ああ、この店だ」
「行くぞ!」
「俺達の浪漫を手にする為に!」
こう誓い合いだ。そうしてだった。
彼等はそのイメクラに向かった。全員でだ。
だが、だった。その彼等にだ。
店の店員、おそらく用心棒やトラブル処理係も兼ねているいかつい大男、かつてのサッカー選手オリバー=カーンにそっくりである。服だけはスーツのその男がだ。こう彼等に言ったのだった。
「帰れ」
「えっ、何でだよ」
「折角来たのに」
「俺達の何が悪いんだ」
「何処に問題が!?」
「御前等高校生だろ」
男は彼等をジロリと見て言った。
「そうだな」
「いや、俺達はなあ」
「大学生だよな」
「そうだよ。南河内大学の一年だよ」
「花の十九歳だぜ」
「なあ」
「なら学生証見せてみろ」
男にはわかっていた。全てが。
だから彼等が絶対にできないことをだ。ここで言ったのである。
するとだ。彼等はというと。
急に慌てふためき狼狽してだ。それぞれこう言った。
「い、いやそれはな」
「忘れたよな」
「だよな。ちょっとな」
「悪いけれどな」
「なら余計に駄目だ」
鉄壁の如くだ。男はまた彼等に言った。
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