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男の浪漫
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第一章

                          男の浪漫
 彼等は今憎んでいた。
 何に対して憎んでいるかというと。それは。
「おい、酷い話だよな」
「ああ、そう思うぜ」
「俺もだよ」
 こうだ。一つの机のところに集ってそれぞれの椅子に座ってだ。言い合っていた。
「うちの学校なあ」
「何でスクール水着じゃないんだよ」
「高校生のあの成熟しかけてるプロポーションにスクール水着」
「それが最高だろ」
「それがいいっていうのによ」
 こうだ。彼等は熱く話していた。
「ったくよ。うちの学校わかってねえよ」
「かといっても競泳水着でもないしな」
 今度はこの話だった。
「あのスタイルが完全に出る水着がいいってのにな」
「それもなしってな」
「あんな半ズボンタイプのセパレーツなんてな」
「全然色気ねえだろ」
「何だよ、あれ」
「誰が考えたんだよ」
 半ズボンタイプのその愛想のない水着にだ。彼等は怒りを露わにさせていた。
 そしてだ。さらにだった。
 彼等の怒りはだ。水着以外のものにも向けられていた。
 今度はだ。こんなことを言った。
「体操服だってなあ」
「冬も夏もジャージってよ」
「しかも上下」
「それないだろ」
 普通の体育の授業の話もするのだった。
「やっぱりブルマだろ、ブルマ」
「色は黒だ」
「いや、紺だろ」
「赤に決まってるだろ」
 ブルマの色はそれぞれだった。しかしだった。
 そのブルマについてはだ。考えが一致していた。
「それでもな」
「ブルマはいいな」
「ああ、最高だ」
「ブルマは最高だ!」
 言葉は最早絶叫にさえなっていた。
「何であんなの廃止したんだ」
「糞っ、世の中間違ってるぞ」
「昔はよかったな」
「ああ、体育の時間は薔薇色だったんだな」
「女の子の太腿に腰に尻に」
 話が実に具体的になってきた。
「それが下着まんまのデザインの体操服で露わになってたのか」
「上の胸もあってな」
「巨乳も貧乳もはっきりと形に出てて」
「いい時代だったんだな」
「黄金時代だったんだよ、日本の」
 そのブルマがあった時代がそれだというのだ。尚ブルマが急激に廃止に向かったのはこうした見方からであるのはおそらく間違いない。
「それをなくすとは」
「世の中どうなってるんだ」
「うちの学校なんか水着もあれだしな」
「制服の規則も厳しくてスカートの丈も長いしな」
 スカートを折るだけで怒られるのだ。これではだった。
「何もかもが駄目、駄目、駄目だ」
「俺達は修道僧じゃないぞ」
「花の高校生だ」
「そうだ、栗の花のな」
 こんな滅茶苦茶な、女の子達が聞けば確実に白い目で見られる様なことを教室で言い合う彼等だった。とりあえず青春はしていた
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