第四十八話 石川少佐!ポエムはいいぞ!!その十一
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「生臭い一面もあるな」
「人間って色々な一面があるってことだな」
「いや、そのことも勉強になるな」
「素晴らしい歌人も時には汚く猟官運動もする」
「貴族としてな」
「そうしたことは言わなくて宜しいです」
定家さんは不機嫌な顔になって二人に応えた。
「むしろ言わないでもらいたい」
「けれど歴史的事実だしな」
「まあ官位の話だと常だけれどな」
「定家さんでなくてもな」
「他の人もそうだけれどな」
「ではこのお話は終わりです」
定家さんは巴マ○のアスキーアートの動きで言った。
「これ以上話せば命の保障はありません」
「つまり祟りか」
「祟り殺すってことか」
「何か天神様みたいだな」
「そんな感じだよな」
「何でしたらお呼びしますが」
定家さんは二人に応えてこうも言った。
「宜しいでしょうか」
「遠慮するな、あの人は」
「洒落になってないからな」
「そんな話をしてたら梅の香りがしてきたぜ」
「今は不吉な匂いに思えるな」
かぐわしい筈もその香りも祟りが関わるのならばそう思えるものだ。世の中は時と場所によって同じものが対象でも感じ方が変わるものだ。
「まあとにかくこの話はなしだな」
「ああ、流石の俺達も祟りは怖いからな」
「定家さんも怖そうなのに天神様までってな」
「ガチで洒落にならないからな」
「はい、では謡う対象は私が申し上げます」
審判役として、というのだ。
「四季のあらゆるものを」
「はい」
瞬はその二人の言葉を受けて素直な声で応えた。
「ではこれよりですね」
「はじめましょう」
「ではこの札に筆でです」
石川は既に毛筆と色の紙の札を手にしつつ応えた。
「歌を詠っていきまあしょう」
「よし、五七五七七でな」
「詠っていくか」
「そして今回もな」
「勝ってやるか」
「皆さん、こうした浅ましい心で詠ってはです」
定家さんは周りの観衆と全世界の視聴者の人達にカメラ目線で話した。
「絶対にいけません」
「歌に邪念が入るからですね」
「だからですよね」
「そうです」
その通りとだ、定家さんは観衆の人達に答えた。
「幾ら心が乱れる時があろうとも」
「歌を謡う時はですね」
「一切の邪念を消して」
「そのうえで謡うべき」
「それが和歌というものですね」
「勝とうなどと思わないことです」
定家さんは今は澄み切った心境で話した、確かに猟官運動においてはかなりのことをしてきたらしいが今はそうである。
「和歌を謡う」
「そのことだけにですね」
「心を向けるべきですね」
「勝つと思うのではなく」
「和歌のことを考えるだけですね」
「さもなければどれだけ和歌の技術があろうとも」
それでもというのだ。
「汚れた歌になってしまいま
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